
人間には12の感覚がある 動物たちに学ぶセンス・オブ・ワンダー(ジャッキー・ヒギンズ 著/夏目 大 訳/文芸春秋/2860円/432ページ)
[著者プロフィル]Jackie Higgins(ジャッキー・ヒギンズ)/『ナショナルジオグラフィック』、ディスカバリーチャンネル、BBCなどで制作・執筆を担当。英オックスフォード大学大学院で、科学者リチャード・ドーキンス(『利己的な遺伝子』著者)に師事し動物学を修める。
さまざまな生物が備える精妙で不思議な感覚を一つひとつ俎上に載せ、「感覚」の再発見へと誘う。そして人間にも、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感どころか、12(より細かく分ければ33)もの感覚があるという。
人間の感覚を五感としたのは古代ギリシアの哲学者アリストテレスだといわれるが、科学の礎を築いた万学の祖の見立てが、2000年以上の時を経て覆される。例えば目は空間のみならず時間を、耳は音を聴くばかりでなく平衡を保っているか否かを感じ取れるといった具合だ。
動物たちの感覚の秘密
第1章「モンハナシャコと人間の色世界」は、世界一の速さでパンチを繰り出す小さなロブスターのような生物の目に、人間の4倍に相当する12種類の光受容体があるとの話から始まる。視覚装置も世界一というわけだが、意外なことに色彩の多様さを味わうことにおいては人間のほうがはるかに優れているそうだ。ヒトは光受容体が少ない分を脳の複雑な回路が補っているのだ。さまざまな感覚器からのシグナルを脳が自在に組み合わせることで、私たちは豊饒な色彩の世界を生きている。
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