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セブン、買収危機脱するも8月上旬発表の中期経営計画は期待薄? 独立路線を貫くうえでカギを握る北米子会社との関係・・・「ジャパン優遇」を見直すか

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もっとも、セブン&アイは収益上はすでに、そのほとんどを海外で稼ぐ「グローバル企業」だ。

直近の2025年2月期の売り上げでいえば、SEJが8794億円なのに対し、SEIは8兆6194億円に達する。利益面でもSEJの営業利益は2337億円だが、SEIは3296億円に上る。

北米ではガソリンが主力商品で、直営店比率も高いなどの違いはあるが、規模の差は歴然。その中で注目すべきは資本関係で、規模や利益面で劣るSEJがSEIの完全親会社であるという点だ。

セブン&アイは前体制の井阪隆一社長時代に「これからの成長の源泉は北米を中心とした海外市場」という方針を明確に打ち出している。しかし、この親子関係の「ねじれ」が起因しているのか、経営方針とそれを担う経営体制には矛盾が生じている。

例えば社内取締役メンバー5人のうち、主要な海外やグローバル企業のハンズオンでの経営経験があるのは、現社長のデイカス氏のみ。また売り上げの1割程度にすぎないSEJ出身の取締役は、創業家の伊藤順朗会長と木村成樹副社長がいるが、売り上げの7割超を占めるSEI出身者は一人もいない。計14人いる執行役員については、その全員が日本人だ。

北米の成功を機に、海外戦略を転換

SEI出身者や海外人材の活用については、ダイバーシティの観点からも重要だが、セブン&アイの戦略の面から見ても必須の課題といえる。

同社は海外戦略において、大きく2つを掲げている。

1つは買収や出資によって、展開国数を拡大する戦略だ。これまで同社の海外事業では現地小売企業に「セブン-イレブン」のライセンスを付与し、フィーをもらうローリスクローリターンの戦略だった。これを数年前からセブン&アイが現地企業に出資し、連結収益に取り込む戦略に転換した。

背景にあるのは、北米での成功体験だ。

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