完全独学で東大に合格、"最悪な日"でも勉強できる「自分のやる気を信じない」仕組みづくり 「帰ってOK」「CM勉強法」合格体験記20年分に学ぶ

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「勉強は1日30分まで」で効率重視の勉強法を追求

独学での東大合格を果たすうえで、神田氏が「すべての始祖とも言える、最も重要なルール」と振り返るのが、小中学校時代の「1日30分以上勉強してはいけない」という神田家独自のルールだ。

「『1日30分まで』という制約がなければ、長く勉強することで成果を出そうとして、勉強法を工夫するという発想に至らなかったかもしれません。勉強の成果は、『質と量の掛け合わせ』で決まりますが、成果を上げるにはまず『質』を高める必要があります。

私はこのルールのおかげで早い段階から、1日30分で最大効果を生む方法を追求する姿勢が身についていました。そのため、東大受験に向けて勉強時間を増やしてからも、最大効率で勉強できたのだと思います」

独学で入試に関する情報も少ない中で、神田氏が「北極星のような存在」として頼りにしていたのが、東大の過去問だ。中3秋の時点から、「資料集など何を見てもいいし、どれだけ時間をかけてもいい」というルールで解き始めていたという。その中で傾向をつかみ、受験勉強の戦略を考えていった。

「過去問を解いて、東大が求めるレベルと自分の実力にどのくらい距離があるか把握します。すると、自分の不足を補うために何をすべきか考えられるようになります。ただし、解けない問題が出たら、疑問をすぐ解消しようとはせず、『なぜ分からないのだろう』と、自分の思考の“癖”や“盲点”を考えることを意識していました。

このようにメタ認知をすることで、体系的な学びに取り組めるようになったと思います。東大の過去問は出版社ごとに解答が異なることもありますが、『なぜ、このような違いが出るのか』を考えてみると、より能動的な学びに繋がります」

なお、一般的な塾の指導では、東大が第一志望の場合でも、他の併願大まで視野に入れた受験対策を勧められることが少なくない。

神田氏は「リソースを分散させると第一志望の合格率を下げかねないので、戦略としては望ましくない」とした上で、「浪人はできないなどの事情がある場合も、まずは一番行きたい大学に絞って対策をし、そこから徐々に範囲を広げていくと良い」とアドバイスする。

数々の試行錯誤をしてきた神田氏だが、今、当時の自分にさらに声をかけるとすれば、どんな言葉を贈るのだろうか。神田氏は、「どういう成長カーブを描くべきか見定めて」と助言したいと話す。

「当時の私は、1カ月後、2カ月後の成果をすぐに欲しがっていました。しかし今振り返れば、もっと長いスパンで考えて戦略を立てるべきだったと思います。特に、もっと早い段階から国語力を鍛える時間を取ればよかったと思います。文章を正確に読んで深く考える力は、全ての学習の基礎です。私は、一浪してじっくり読書する時間を取ったことで、他教科の成績が上がりました。受験勉強では、目先の問題だけにとらわれず、長い目で見て今何をすべきかを考えることが重要だと思います」

(文:安永美穂、注記のない写真:msv / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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