偽造した顔で就職面接? 増額するランサムウェア要求額、偽データを用いた脅迫……2024年の実例に見る「脅威動向」と3つの被害主因まとめ

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【ウェブブラウザ関連】

業務の85~90%がブラウザ上で行われている現状から、ウェブブラウザが主要な弱点となっており、2024年のインシデントの44%がウェブブラウザ関連であった。

今年に入ってからも、仮想化インフラストラクチャや、クラウド上で動作する重要なサーバーやアプリケーションが標的となっている。「Bling Libra」(ShinyHuntersランサムウェアの配布者)や「Muddled Libra」といったサイバー犯罪者は、設定ミスの悪用や、脆弱な認証情報の発見によってクラウド環境にアクセスするため、いまいちど多要素認証やパスワード、過剰なアクセス権限の付与を見直す必要があるだろう。

IDとアクセス管理に関する問題の動向

昨年1年間の事案にみる「サイバー被害の主因」3つ

2024年に対応した事案をもとにすると、サイバー被害の主因としては以下の3つが考察される。

①複雑性によって、セキュリティ効果が低下している:組織は80以上のセキュリティ・ツールを使用しているが、その多くはきちんと統合されていない。インシデントの75%は、ログにエビデンスが残っていたにもかかわらず、サイロ化が原因で検出に失敗している。

②可視性のギャップによって、攻撃者は検出を逃れている:非管理の資産と、リアルタイム監視の欠如が、攻撃者に活動の余地を与えている。インシデントの40%は、セキュリティツールと管理の問題に起因している。

③過度な信頼によって、攻撃の被害が拡大している:過剰に許可されたアクセス権限と脆弱なアクセス制御により、横方向の移動が容易になっている。攻撃の41%が過剰な権限を利用しており、横の動きや権限の昇格を許している。

攻撃は高速化・大規模化・巧妙化しているが、防御側はいまいちど、データのサイロ化を防ぎ、可視性を担保し、そしてアクセス権限の過剰付与を見直すことで、サイバー攻撃のリスクと影響を低減できるのではないだろうか。

東洋経済Tech×サイバーセキュリティでは、サイバー攻撃、セキュリティーの最新動向、事業継続を可能にするために必要な情報をお届けしています。
佐々木 健介 ブライアン パロアルトネットワークス プリンシパルコンサルタント、Unit 42

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Kensuke Brian Sasaki

米国陸軍でプロフェッショナルキャリアをスタートした後、民間セクターに移り日本でSecureworks、Verizonなど多くの企業で勤務。パロアルトネットワークス入社前はBlackpandaでDFIR(デジタルフォレンジック及びインシデント対応)の専門家として勤務する。過去10年、主にサイバーセキュリティの専門家として、インシデント対応、脅威インテリジェンス、セキュリティ運用、サイバーリスク管理、脆弱性テストなどに従事し、幅広いセキュリティコンサルティング分野での豊富な経験を有する。

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