東京都が女子中高生とSTEM分野で働く女性をつなぐ「Girls Meet STEM in TOKYO」始動の訳 山田進太郎D&I財団と連携しオフィスツアー
それぞれに興味関心があるから、わざわざ女性比率を上げなくてもいいのではないかと考える人もいるかもしれないが、先に紹介した経団連の調査では、イノベーションの創出や事業を進めるために多様性が必要と考える企業が多いことがわかっている。
一方で「女性は理系科目が苦手」というイメージがある人も多いだろう。それもOECDが3年おきに15歳を対象に実施している学習到達度調査(PISA)を見れば、日本の女子の科学的リテラシー、数学的リテラシーはともにOECD平均より高く、適性がないわけではないとわかる。
では、なぜSTEM分野に進む女性が少ないのか。そこにはアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)があるといわれる。
実際、東京都が行った調査でも「理系科目は男性のほうが得意だと思う」と答えた女子高生は33.2%、「文系科目は女性のほうが得意だと思う」と答えた女子高生は34.6%もいた(「令和5年度性別による無意識の思い込み実態調査」)。またSTEM分野に進む女性が少ないためにロールモデルが少なく、将来のイメージがしにくいことも影響していると考えられる。
参画企業は50社以上、今夏から大幅にブラッシュアップ
こうした問題意識のもと、東京都も山田進太郎D&I財団も、これまではそれぞれで女子中高生向けオフィスツアーを行っていた。
だが、東京都は受け入れ企業の開拓で、山田進太郎D&I財団は中高生に情報を届けるという点に課題を感じていた。そこで今年から、東京都は学校や市区町村への広報全般、山田進太郎D&I財団は企業への参画提案、実施サポートを担うかたちでオフィスツアーを大幅にブラッシュアップさせる。


今夏に行うツアーでは、花王やサッポロ、サントリー、ホンダ、スバル、ロッテ、リクシルなどのメーカー、NTTデータやエヌビディア、サイバーエージェントなどのIT企業のほか、デロイトトーマツやテレビ朝日といった幅広い業種から50社以上の企業が参画。オフィスや研究所の見学、最新技術の体験、ワークショップを実施するほかSTEM分野で活躍する社員との座談会で働き方やキャリアについても聞くことができるという。
第1弾は2025年7月19日(土)から8月17日(日)まで(募集締め切りは6月24日〈火〉)。第2弾は2025年8月18日(月)から8月31日(日)まで(募集締め切りは7月25日〈金〉)。参加対象は都内在住または在学の女子中高生で、申し込みは下記ホームページから。
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/danjo/jokatsu/25summer-office