「子どもの心の病」原因の多くは親?見逃しNGなサインとGW明けに注意すべきこと 学校を休ませる基準「いじめと体罰のみ」の訳

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例えば、不安障害や適応障害の不安型であれば、段階を踏んで少しずつ不安やストレスと向き合っていくことが大事です。完全に休ませると、「不安やストレスとは向き合わなくてもいい」という非現実的な社会への理解につながり、健全な不安やストレスとの向き合い方を学べず、長期間の不登校に誘いかねません。

重度のうつ病であったとしても、保護者や教員は登校させるというスタンスを変えるべきではありません。一度休むと長期的に休んでしまうことが多く、これではうつ病が悪化してしまうからです。ただし、自殺の危険性が高く、なおかつ登校が自殺のトリガーになりかねない場合は、学校を休ませて治療に専念させましょう。一方で、社会との関わりがなければうつ病の改善は難しいので、ある程度の安定がみられるようになったら登校させるべきでしょう。

日本で多く見られる「ストレスとなり得るものを取り除けばいい」とする対処法は、日本の精神医療・心理学の後れを如実に表していると感じます。さらに、最近の日本では、「子どもがつらいと言うから休ませる」という保護者の対応も当たり前となっていますが、それも必ずしも正解ではありません

基本的には子どもがやるべきことを放棄させないことは保護者の責任であること、子どもの脳は未発達で大人のように論理的には考えられないことを理解したうえで、慎重に判断する必要があります。安易に子どもの主張を受け入れすぎると、保護者は徐々に権威を失い、子どもはさらに言うことを聞かなくなり、不登校になってしまいます。

子どもが心の病に罹患、保護者に多い「3つの特徴」

大前提としてご理解いただきたいのは、子どもが心の病で苦しんでいる主な原因は家庭にあるということです。よって、保護者が変われば子どもの心の病が治ることも多いです。

では、「保護者が変わる」とはどういうことでしょうか。

まず、子どもの罹患を受け入れることが重要。受け止めなければ、反省できず、結果として何も変わらないからです。とくに子どもが心の病に罹患している家庭には次のような特徴が多く見られます。

① 保護者が子どもの話を聞いていない
② 子どもに厳しすぎる、あるいは甘すぎる
③ 保護者がコミュニケーションの問題を抱えている

 

保護者からのリスペクトを感じられないことが、心の病の主な原因になることは多々あります。①の家庭で大切なのは、子どもの話をじっくり聞くこと。ただうなずくだけではなく、子どもの感情に合わせて感情表現をする、聞いたことを要約して理解が正しいことを確認する、携帯を片手にではなくしっかりと話を聞く姿勢で聞いてあげる、自分の考えを押し付けすぎないなど、さまざまなことに気を付けなくてはいけません。

②の視点から、子育てを見直すことも大切です。子どもの心は、保護者が厳しさと甘さ、両方のバランスをうまく保って初めて健全に成長します。厳しすぎれば自由が奪われ「自分の人生をコントロールできていない」という感覚に陥り、逆に甘すぎれば必要以上に人生をコントロールできてしまえる錯覚が生じ、心の病の原因になるのです。

③の状態も改善が必要で、保護者が2人以上いる場合は、保護者間のコミュニケーションを見直しましょう。とくに、男尊女卑が目立つ関係は、男性がコントロールしすぎてしまい、コミュニケーションを難しくしがちです。

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