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“名建築の裏側”を大公開!マニアから初心者まで6万5000人が訪れた「東京建築祭」が今年は規模を拡大《注目の特別無料公開》見どころは?

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  • 倉方 俊輔 建築史家、大阪公立大学教授
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玄関周りには、角を丸く仕上げたアーチ型の連続が見られ、内部の階段も幾何学的な形状をしている。今回公開される4階の講堂でも、ジグザグ型の装飾が柱上部から張り出し、広い空間を支えるかのようにデザインされている。

「東京大学 理学部2号館」の講堂。幾何学的な装飾が柱上部から張り出している(撮影:倉方俊輔)

約90年にわたり日本の科学研究を支えてきた同館。だからこそ趣が堪能できるのだが、一方で外壁の損傷、窓の開閉不良、漏水などの問題が顕在化している。大学の通常予算だけでは修繕が難しい状況にあり、歴史的建造物としての美観を保持しながら改修するためのクラウドファンディング・プロジェクトも進行中だ。当日は会場からも寄付が可能になる。建築を「受け取る」だけでなく、未来へ「渡す」充実感も味わってほしい。

意匠を凝らした昭和レトロな「鳳明館 本館」

「鳳明館 本館」は、東京・本郷に残る貴重な和風建築だ。1898年に竣工したこの建物は、かつて学生のための下宿として使われていた。現在は旅館として営まれており、登録有形文化財にも登録されている。今回は、5月24日と25日の2日間、内部が特別公開される。

「鳳明館 本館」(撮影:傍島利浩)

館内には、国産の銘木を贅沢に使った意匠や、職人の手仕事が随所に残る。公開されるのは、エントランスホール、その名のとおりの「ひょうたん風呂」、そして意匠の凝った「朝日の間」「ゑびすの間」など。

「鳳明館 本館」には、国産の銘木を贅沢に使った意匠や職人の手仕事が残る。今回はレトロな「ひょうたん風呂」も公開(撮影:倉方俊輔)
「鳳明館 本館」の「ゑびすの間」(撮影:傍島利浩)

前述の3つの建築がいずれも洋風建築の進展を物語るものであったのに対し、鳳明館は明治から昭和初期にかけて、和風建築もまた豊かに発展していたことを表している。

この建築には、下宿時代から受け継がれてきた「おもてなし」の精神が、今も息づいている。東京建築祭においても、創業者の孫にあたる女将がこの日のために資料などをしつらえ、単なる建物の見学会にとどまらない、心のこもった案内をしてくださる予定だ。

建築は、そこに暮らす人や使う人の心を映し出す。東京建築祭に参加することで、そんな実感を持てるはずだ。

今回紹介した建築は、普段から使われている方々の善意によって特別公開される。訪問の際は必ず東京建築祭の公式WEBサイトで、最新情報と注意事項を確認してほしい。

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