“名建築の裏側”を大公開!マニアから初心者まで6万5000人が訪れた「東京建築祭」が今年は規模を拡大《注目の特別無料公開》見どころは?
だが、保存運動によって守られ、1972年には国の重要文化財に指定。1977年から2020年にかけては、美術館として広く親しまれた。2020年には、美術館の機能は所蔵作品とともに石川県金沢市へ移転し、「国立工芸館」として新たに開館している。
5月24日・25日の2日間、この歴史的建築の扉が開かれる。閉館後も臨時の展覧会や撮影ロケ地などに活用されてきたが、一般の来場者が内部に入れるのは、実に5年ぶりのことだ。

今回は、玄関から入ったエントランスホール、そこから2階へ続く階段、そして2階中央正面の休憩室が特別公開される。創建当初の意匠が今なお残されている空間だ。階段や壁柱の装飾は繊細で、窓から差し込む自然光が、美しい陰影を室内に落とす。ガラス越しに眺める北の丸公園の緑や乾門の風景も、まるで絵画のような新鮮な印象を与えてくれる。

美術館としての機能を離れた今、この空間はかつて以上に、建築そのものをじっくり味わうことができる。目に焼き付けるのもよし、カメラに収めるのもよし。外観とあわせて、この典雅な建築をゆっくり堪能してほしい。
「東大」で内田ゴシックと幾何学的意匠を堪能
「東京大学 理学部2号館」は、東京大学本郷キャンパスの赤門近くにたたずむ。1934年に完成した趣ある校舎で、現在も理学部の研究棟として現役で使われている。普段は関係者以外の人は立ち入ることができないが、5月24日の公開時間中にその一部が特別公開される。

関東大震災で被害を受けた後、本郷キャンパスの校舎群は統一感のある意匠で再建された。これを主導したのは、建築学科の教授であり、のちに東京帝国大学総長を務めた内田祥三。赤茶色のスクラッチタイルに石材を組み合わせた端正な外観や、垂直性を強調した意匠は「内田ゴシック」と呼ばれ、今も東京大学を象徴する風景となっている。
理学部2号館の見どころは、こうした内田ゴシックを基調としながらも、昭和初期の建築に見られる幾何学的で立体的な意匠が取り入れられている点だ。

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