先生は骨を折られても泣き寝入り?教師が日々リスクに直面する、学校の異常な実態 保護者クレームに追いつめられて疲弊する現場

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また、急に濡れ衣を着せられることもあります。たとえば、「先生に相談したら無視された」「先生からもう学校に来るなと言われた」「宿題を出したのに出していないと言われた」など、事実無根だったり、事実を歪曲したことを生徒が保護者に言って、それで保護者が怒鳴り込んでくるケース。

これは教師をやって、何千人も教えて体感したことなのですが、人間の中には一定数、『平気で嘘をつく人』がいるように思います。なんの悪気なく、反射的に、日常的に嘘がポンポン出てくるような人です。実際、そういう生徒が何人かいたのです(これはあくまでも私個人の経験・体感の話です)。

生徒と教師の言い分がまったく食い違っているとき、「じゃあ、どっちの言うことを信じるんだ?」という話になります。そんな場合、こちらがちゃんと記録を取っていて「何月何日にこういう対応をした」と書いてあれば、やっぱりそちらの方が、信憑性が高くなりますよね。

そういうことが本当によくあるので、実は管理職からも、「必ず記録を取れ」と耳にたこができるほど言われていました。また、これは防ぐのが難しいのですが、何気ない会話について、受け取り方の違いが原因で、トラブルになってしまうこともよくあります。

たとえば、こちらが冗談めかしたニュアンスで「そんな問題集やる意味ないよ(笑)」と言ったとします。それを生徒が親に「問題集はやる意味ないって先生が言ってたよ」と伝えて、それで親から苦情が来るみたいなケース。これはけっこうありました。

実際には、その前後の文脈があるのです。「基礎がわかってないのに、そんな高度な問題集やっても意味ないよ」というような。それが生徒から親に伝わる時点で、「先生が問題集やる意味ないって言ってたよ」という話になってしまう。

特に小学校だと、こういうトラブルが多いです。雑談の中でのちょっとした冗談が歪んで受け止められたり、真に受けられたりしてしまうというのは実際にけっこうなリスクといえます。

私自身の経験で言うと……中学生って、教師にやたらと年齢を訊いてくるんですね。

「先生、何歳? 教えてよ」と、1日に何回訊かれるかわかりません。現役時代の私は20代・30代だったのですが、ちょっと面倒くさくなって、「56歳だよ」と適当にあしらったことがありました。

すると、次の日にその子の保護者とバッタリ会って、訊かれたんです。「先生、56歳って本当ですか?」と。正直「いや、信じるなよ」と思いましたが、そんなこともあるんです(笑)。

私は、先生方ももっと声を上げなければいけない、と思います。教師が何十年も黙って、我慢して、働き続けてきた結果、ついに学校教育は崩壊の瀬戸際まで来てしまっているのだから。もっと声をあげて、まずは、保護者のみなさんに、現状を知ってもらうことが大事だと。

保護者と教師は一緒に子どもの成長を支え、後押ししていく存在です。教師もキレイゴト抜きの本音で語ること。そこがスタートです。その上でようやく教師と、保護者と、世の中の大人たちが同じ土俵に立って「じゃあ何ができるか?」と、学校の未来を考えていくことができるのではないでしょうか。

(注記のない写真:A_Team / PIXTA)

執筆:静岡の元教師すぎやま
東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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