先生は骨を折られても泣き寝入り?教師が日々リスクに直面する、学校の異常な実態 保護者クレームに追いつめられて疲弊する現場

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「指導の方法が悪かったのじゃないか?」
「前途のある子どもを犯罪者にするのか?」
「教師の対応にも問題があったんじゃないか?」

そんな声が必ず出てきます。そのせいで結果として、たとえ暴言を吐かれても、授業を妨害されても、暴力被害に遭っても、多くの教師は泣き寝入りせざるを得ない。そんな悲しい現実があるのです。

教師が「裁判保険」に入る時代!?

中には教師が被告人になってしまうトラブルもあります。一方的にクレームをつけられて、民事裁判にまで発展することがあるからです。

「いつ多額の損害賠償請求をされるかわからない……」
「裁判を起こされたら弁護士費用も個人で支払わないといけないらしい」

今や多くの教師はそういう不安を抱えながら仕事をしています。悲しいことですが、それが教育現場の現実。そこで現役時代に私が取っていた対策に『裁判保険』があります。

あるとき、他の学年の学年主任だった先生との会話の中で、「裁判保険っていうのがあるんだけど、知ってる? 実は俺、入ってるんだよね」……と聞いたのが、私が裁判保険を知るキッカケでした。

もちろん学年主任の先生は保険の外交員でも、ネットワークビジネス目的でもなんでもなく、ただの話題として挙げただけ。熱心に勧めてきたわけではありません。でも、私は即その保険に加入しました。

その頃も、他県でプールの水止め忘れ事件があったり、業務中の過失で教師個人が賠償責任を負わされたというニュースを何度か耳にしたりしていたからです。

ちょうど『モンスターペアレンツ』が大きな問題になっていた頃でもあります。激烈で無茶なクレームを入れてくる保護者は、実際にどこの学校にもいたし、周りの学校で先生が保護者ともめて訴えられたというような話も耳に入っていました。

当時、荒れた学校で勤務していた私も、保護者から一方的なクレームを入れられることが当然あったので、「自分もいつか訴えられるかも……」という危機感は、ずっとあったんです。裁判保険というのは文字通り、自分が訴えられたときの裁判費用、弁護士費用、あとはプランによっては、実際に損害賠償を払わなければならなくなったときにそれも補償してくれる、というもの。

当時、学年主任や教務主任などの管理職で裁判保険に入っていた教師は、周りにもけっこういました。

記録を取ることで『自己防衛』

私たち教師は他にもリスクマネジメントとして心がけていることがあります。それは、ちゃんと『記録』を取っておくこと。

たとえば、「◯月◯日19時、A子さん母からTEL。娘が学校に行きたくないとのこと」

「◯月◯日放課後、A子さんより相談(教室にて)。B子さんから嫌がらせを受けている。C子に確認してみると伝える」などのようにできるだけメモする。保護者とのやり取りはもちろん、生徒への指導や、生徒間のトラブルについてもそうです。

可能な限りメモを取っておきます。もちろん、メモの大半は活用されることなく埋もれていくのですが、もし何か重大なトラブルが起きた時にはこのメモをさかのぼって、状況を整理することができます。

そうすると、「いつ何があって、どのような対応をしたのか?」を、理路整然と答えられるようになるのです。これは私に限らず、けっこう多くの教員がやっていることです。

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実際には手書きメモなどは、裁判では『証拠』にはなりません。でも、記録が残っていなくて、記憶も散らかって曖昧だと、証言の信憑性は薄れます。だから、自分の証言の筋を通す、裏付けるための材料として、記録がとても重要なものになるのです。

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