国税記者 実録マルサの世界 田中周紀著 ~綿密な取材で活写される「沈黙の艦隊」の素顔
綿密な現場取材の数々を「化粧で隠した六億円」「お水の逃げ道」「神隠し」「外・外の金を追え」など、思わずひきつけられるタイトルでまとめていく。経済界の著名人が絡む「B勘」(ブラックのBが由来ともいわれる裏金口座)を活用した脱税では、本人の鼎(かなえ)の軽重が問われる「気づかなかった」「悔しい」との発言が収録されている。
本書を脱税ノウハウ書として読むのは間違いだと著者はいう。「査察部にはこれまでの事件で得られた調査ノウハウが、たっぷり蓄積」されており、「悪事はいつかは露見する」と。
「おカネ教育」の是非については賛否両論があろうが、国税で使われるような隠語には、縁がないに越したことはない。
たなか・ちかき
フリーライター。1961年生まれ。上智大学文学部卒業後、85年共同通信社に入社。本社社会部で国税当局を取材。2000年にテレビ朝日へ。『ニュースステーション』のディレクターを務め、06年から再び国税当局を取材。10年テレビ朝日を退社。
講談社 1680円 351ページ
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