預金を丸ごと奪われた…ころっと引っかかってしまう「ネットバンキング詐欺」あの手この手、被害に遭わないためには?

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ネットバンキングの不正送金被害は深刻な状況になっています。2023年の被害額は約87億3100万円と、過去最悪を記録しました。2018年の被害額は約4億6100万円だったので約19倍と劇的に増加しています。

2024年におけるネットバンキングの不正送金被害は発生件数が4369件、被害総額は約86億9000万円でした。これは前年とくらべて少し減ってはいるものの、依然として高水準のままです(警察庁「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威情勢等について」)。

ネットバンキング詐欺は、だましの手口のバリエーションが多いのが特徴です。ほかのネット詐欺と組み合わせて仕掛けられることも多く、デジタルリテラシーを身に付けていないと、タイミングによってはころっと引っかかってしまうのです。

ごっそりと預金を丸ごと盗まれてしまうことも

代表的な手口をいくつかご紹介します。何よりショッキングなのが、ネットバンキングを使っていないのに、ネットバンキング経由でごっそりと預金を丸ごと盗まれてしまう事例です。

岩手県の60代女性が被害に遭ったケースでは、まず自治体職員を名乗る人物から過払いの保険金があるので返還すると連絡が入ります。テレビCMで過払い金が返ってくるようなことを耳にしているので、自分もお金がもらえるのかと疑うことはありませんでした。

その後、詐欺師は女性が使っている銀行の口座番号や暗証番号、個人情報などを聞き出してネットバンキングの口座を申し込んだのです。本人確認が必要になりますが、詐欺師は女性に指示して、自宅の電話から認証用の電話番号に連絡させます。ネットバンキングのアカウント情報は犯人が持っているので、口座の残高すべてを送金されてしまいました。

似たような手口で、警察官や銀行員になりすました詐欺師が「あなたの口座が犯罪に利用されていないか調べる必要がある」と言ってネットバンキング口座の開設を指示する手口があります。

詐欺師は、途中で手続を代行すると持ちかけて、初期設定に必要な暗証番号やパスワードなどの情報をすべて聞き出します。続けて、本人になりすまし、ネットバンキング口座を登録し、預金を他口座へ振りこんでしまうのです。

言い訳のパターンは「医療費の過払い金がある」や「年金の未払い分を返金する」「口座が乗っ取られているので、預金を安全な口座に移す必要がある」などさまざまです。複数の詐欺師が連携し、最初は自治体を名乗ってコンタクトし「おって銀行から連絡が入ります」と言われ、その後銀行員を名乗る別の詐欺師が出てくるパターンもあります。

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