ゲートウェイ再開発で出土した「高輪築堤」の未来 どの場所で何が見つかったのか担当者を直撃
今回公開されたのは港区教育委員会が実施した調査であり、「TAKANAWA GATEWAY CITY第2期工事」エリア(5・6街区)内にある高輪築堤跡が、どの深さでどのくらい残存しているかを発掘調査するためのものだ。
見つかった構造物はJR東日本の品川駅改良工事施設内にあるので、同社と協議を重ねて実施された。合計9カ所の調査エリアでは、トレンチ調査(遺構を発掘するための試掘坑、溝)を設置。築堤開業期・海側の石垣が埋まっているだろうと思われる場所を中心に、発掘調査が行われた。
9カ所のうち7カ所で石垣が検出され(いずれも地表掘削から深さ80cmの場所で検出)、当時の石垣の配列がそのまま残されている箇所もあった。また築堤の盛り土部分を掘削したら、西側に傾斜する推積状態が確認でき、東側が開業時の築堤、西側が複線化された時期に造成された盛り土ということがわかった。このように、遺構の発見は歴史資料と実際の遺構の状態とを重ね合わせて調査することによって、当時の状況がわかってくる。
これらの鉄道遺構が一般に公開するに至ったのは、どのような理由からか。港区教育委員会事務局教育推進部図書文化財課の担当者に聞いてみた。
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なぜ一般公開したのか
――高輪築堤の遺構を一般公開するに至った経緯は、区民から見学の要望があったのか。もしくは区が自発的に行ったのか。
「まず、2019年4月に高輪築堤の一部が発見された後、有識者で組織し調査方法や保存方法について検討する高輪築堤調査・保存等検討委員会での議論を踏まえながら調査を実施し、2021年9月には高輪築堤の一部が国史跡に指定され、2021年1月から2022年2月の間に、現地見学会を6回開催しました。今回、見学会を実施した5・6街区については、高輪築堤跡の残存状況を確認する調査を2024年9月18日から実施し、高輪築堤跡に対する関心が非常に高いことから、港区教育委員会では、区民等に広く調査の成果を周知するため、土地所有者であるJR東日本の協力のもと、現地見学会を実施しました」
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