「PTA解散」しても困らない?廃止した学校の変容、「選択と集中」が肝な訳 新制度構築や地域移行など新たな保護者組織

2020年〜2024年度流山市立小山小学校PTA会長、2024年度より流山市立おおぐろ森中学校区コミュニティ・スクール(学校運営協議会)会長。2023年度に有志で「子どものための保護者活動を考える会」を発足
(写真:本人提供)
会費の納入、活動への参加を保護者が選択できる「入会届が不要のPTA」を実現。組織をさらにシンプルにし、残していく活動に関しては、募集してできる人ややりたい人が参加するボランティアベースに切り替えた。
結果、PTA会費を見直し段階的に減額、今年度は会費ゼロに。保護者や教職員の負担が少なく風通しのよい組織となったが、課題が1つ残った。
「保護者の皆さん、ボランティアには気持ちよく参加してくれるのですが、本部役員に手が上がらないのです。本部役員は、完全立候補制。報酬をつける、特典・特権を提示して募ろうかという案も出ましたが、それを目当てに人を集めるのもどうか。もっと純粋に子どもたちのために活動してほしいよね、と。本部役員の人材難が課題でした」(峰松氏)
これまでのPTA業務を地域学校協働本部に移管
小山小には、もともと「地域学校協働活動推進員」が存在し、ミシン授業サポート、PC授業サポートボランティアなど学校支援ボランティアを、ボランティア登録している地域の方や卒業生の保護者などに向け都度募っていた。
地域学校協働活動推進員(以下、地域コーディネーター)とは、教育委員会から委嘱される学校と地域をつなぐコーディネーターを指す。学校との連絡調整や情報共有、地域と学校の協働活動の企画・運営を行うのが主な役割で、活動に対する謝金が教育委員会から支給される。
「PTA活動をボランティアベースに切り替えた頃から、本校の地域コーディネーターと連携しながら活動していたのですが、PTAが行うボランティア活動と地域コーディネーターによる活動が重なる部分がありました。そこで、類似している活動をより持続可能な地域学校協働本部に一元化すること、また、PTAを将来的に解散することを視野に、運営委員会で検討を始めました」(峰松氏)
2023年度から小山小地域コーディネーターを務める志賀えり氏は、PTA本部役員としてIT担当も務めており、LINE WORKSを使ってボランティア募集や学校、ボランティアとの相互連絡を行っていた。地域コーディネーターとして、PTAから管理を引き継ぎLINE WORKSの運用を継続することで、同様の活動を行うことができる。
「双方向のコミュニケーションが可能なデジタルツールを活用できる土壌があり、地域コーディネーターである私とPTA会長との連携がスムーズだったからこそ、PTAの業務を地域学校協働本部に移管することを現実的に捉えることができたと思います。ただ、PTAは解散する想定でしたが、これまでのPTA運営を通して子どもたちにとって必要だと思う活動は減らすつもりはありませんでした」(志賀氏)

2023年度より、おおぐろの森中学校区地域学校協働本部・小山小地域学校協働活動推進員(コーディネーター)。小山小PTAでは2022年度に本部書記兼IT担当、2023年度より特別委員
(写真:本人提供)
さまざまな議論をふまえ、2024年度は、PTA業務を学校・地域学校協働本部に徐々に移管。必要な活動は継続して実施できることが確認でき、2025年1月、PTA解散の是非を問うPTA臨時総会を行い、賛成多数によりPTA解散が可決された。
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