国家からマフィアまで?サイバー攻撃者の「正体」 日本の重要インフラ狙う「DDoS攻撃」が増加
2022年9月には、「キルネット(Killnet)」という親ロシア派を標榜するハクティビスト(ハッカーと活動家:アクティビストの造語)のDDoS攻撃によって、政府のポータルサイト「e-Gov」や地方税ポータルシステム「eLTAX(エルタックス)」、東京メトロ、大阪メトロのウェブサイトなどの閲覧ができない状態になった。
DDoS攻撃者の正体とは?
デジタル社会のインフラや有名なサービスを狙う大規模なDDoS攻撃には、その目的別に、金銭的利益を求めるもの、主張の喧伝を図るもの、さらにサイバー兵器として運用されるものがある。
金銭目的のDDoS攻撃はシステムの稼働を人質に身代金を要求する。「いま起きているDDoS攻撃を私たちなら止められる」と、コンサルティング業者を装うケースもある。このタイプの犯罪者は、攻撃を代行する“DDoS攻撃請負業者” のサービスを利用することも多い。ある業者は大規模なDDoS攻撃をたった月額40米ドル程度で請け負っていた。
攻撃の首謀組織の規模は小さくとも、このような緩くつながったエコシステムによる分業化で、計画的に攻撃が行われている。2024年11月には、 京都のスポーツジム検索サイトにDDoS攻撃を行っていた中国籍の夫婦が逮捕された。この事件でもコンサルを装い、6時間半にわたりサイトを閲覧不能にした。仲介役を通して、海外のDDoS請負業者に支払った金額は約1.5万円だったという。
一方ハクティビストは、政策や格差への不満から環境問題までさまざまな主張を行う。このタイプの攻撃者は、スポンサーから活動資金を得たり、簡単に攻撃ができるツールを配布して“同志”を募ったりするために、ソーシャルメディアで攻撃の成果を喧伝するのが特徴だ。
ただし、近年のハクティビストの“自称“は、あまり鵜呑みにできない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら