「不登校の子の保護者」4人に1人が離職・休職、「家庭でケアを丸抱え」の過酷 8割が仕事に影響、4割が収入減、精神不調も

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関水氏は、保護者の孤立や離職を防ぐためには、日本においても「保護者が子どものケアを丸抱えしなくてはいけない状況を改善する必要がある」と考えている。近年は、フリースクールに通う子どもを対象に助成するなど、不登校支援に関する助成金制度を設ける自治体が出てきているが、こうした経済的な支援の充実は急務といえるだろう。

また関水氏は、保護者の孤立を防ぐために、学校が果たすべき役割も大きいと話す。保護者にとって学校は、最も身近な接点だからだ。

「学校は子どもの不登校で悩む保護者に対し、フリースクールや教育支援センターなど外部のサポート機関に関する情報を積極的に提供することが求められます。ところがSOZOWの調査では、77%の保護者が『不登校になった際、学校から必要な情報提供がなく困った』と回答しています。背景には『学校こそが、子どもが育つべき場だ』といった意識が学校に根強く残っていることが考えられます。学校以外の学びの場や居場所を正当に評価し、学校が“家庭と外部のサポート機関をつなぐ役割”を担う必要があります。また自治体も情報提供に努めることは重要で、例えば働く保護者に対して『不登校の子を見守るために介護休業・休暇が使える場合もある』といった情報を周知することが必要ではないでしょうか」(関水氏)

文科省が、不登校の子がいる家庭を支援員が訪問するアウトリーチ事業や、保護者に対する相談体制の充実を打ち出していることについては、こう語る。

「ひきこもりも本人の合意がない状況で第三者が入ることでこじれる場合が多いので、アウトリーチは慎重な対応が必要です。学校復帰を前提とせず、保護者が抱えている葛藤や悩みに寄り添い、子どもの様子を見ながら学びや居場所の選択肢を一緒に考えていく支援であれば、保護者の孤立の解消につながるはず。相談体制に関しては、とくに当事者の親の会は支えになるので、保護者同士がつながれる場の支援も充実してほしいと思います」(関水氏)

不登校の子どもを持つ保護者を、職場や学校、自治体といった社会全体でサポートしていく。それが不登校離職や孤立の問題を改善するための有効な手立てとなるだろう。

(文:長谷川敦、写真:プラナ/PIXTA提供)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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