ホンダが日産自動車と経営統合に向けた交渉入り 実現すれば世界3位の自動車グループが誕生
ホンダの三部社長は、新興メーカーに対して「規模感だけで勝てるかというと、そんなことは全然ない」と述べた上で、今回の経営統合をきっかけに反転攻勢を仕掛けていきたい考えを示した。「最終的にはやはり今一度世界をリードしたいと思っているので、その中で今日はその一歩目の検討と理解してもらいたい」と続けた。
一方、日産は商品ラインアップの刷新やハイブリッド車投入の遅れなどさまざまな原因から販売不振に陥っており立て直しが急務となっている。同社は11月、業績不振を受けて人員や生産能力を削減するリストラ計画を打ち出したが詳細は明らかにしていない。
ホンダの自己株取得の取得期間は2025年1月6日から同年12月23日まで。資本効率の向上や機動的な資本政策の実施、株主還元の強化などが理由で、従来計画していた1000億円上限の自己株取得は中止する。三部社長は日産との統合の検討中は機動的な取得が制限されるため、現時点で一括で多額の自社株買いをすることにしたと明かした。
ゴーン元会長は疑問視
両社はこの日の発表資料で、経営統合は日産の再建計画の着実な実行が前提となる、とくぎを刺し、三部社長は会見で統合計画は将来の競争力を見据えたもので、日産の救済が目的ではないと明言。ホンダとの統合が実現するかにかかわらず、日産の業績立て直しは必須となる。
日産株はアクティビスト(物言う投資家)も保有も明らかになっており、これら株主の今後の動向も注目される。日産を巡っては台湾の鴻海精密工業が株式取得を目指していると報道されたが、内田社長は鴻海から「われわれに対するアプローチの事実は一切ない」と述べた。
会見に先立ち、逃亡先のレバノンから同日に日本外国特派員協会の会見にオンライン参加した日産のカルロス・ ゴーン元会長は日産とホンダの統合は「成功するとは思えない」と述べた。両社の事業には重複する部分が多く、補完し合える領域が少ないことや、ホンダ側にアライアンスの経験がないことを理由として挙げた。
会社法違反(特別背任)などの罪で起訴され、約5年前に公判中に国外逃亡したゴーン氏は「将来は読めないが、紛争の種はすでにある」と主張した。
--取材協力:吉田昂.
著者:稲島剛史、高橋ニコラス
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