北海道新幹線「函館駅乗り入れ」実現の可能性 大泉市長出席のセミナーで何が語られたのか

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続く基調講演は岸教授が立った。

札幌―函館間は現行「北斗」で乗り換えナシ3時間50分のところ、新幹線は札幌―新函館北斗間が1時間となる。だがそれに並行在来線列車の所要時間に乗り換えの手間と時間が必要であり、基調講演後のディスカッションでは、市街と新幹線駅が18kmも離れていることはデメリットでしかないと語った。そして札幌と函館で実施した市民の意識調査に基づいてまとめた研究論文(「ミニ新幹線による函館駅への新幹線直通運転の可能性」2023年に東アジア交通学会で発表)の論点を紹介。運賃・料金、運営事業費、建設費、およびそれを30年で償還するとしたら……等を詳細に計算した結果、初期投資は大きいが多くの利用者は直通新幹線を選好し、施設保有会社は事業費を回収でき、運行会社も利益を確保できると結論づけた、と説明した。

『鉄道ジャーナル』2025年1月号(11月21日発売)。特集は「北海道の鉄道未来図」。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

延伸時に「函館」をどうする?の議論こそ肝心

現在の諸物価値上がりで計算し直す必要はあり、課題は多々出てくるだろうが、技術面は必ず解決できる。財源が最も悩ましい議論になると予想されるが、調査ではビジネス・観光客とも高い割合で相応の対価を払う意思があるとの結果が得られ、受益者負担が成り立つ。函館―札幌間が新幹線で結ばれれば効果は道全体に及ぶ。最終的には札幌延伸時に、「函館」をどうするかであり、その議論を巻き起こすことが最も重要。法律・制度の作り替えも必要になるが、何もしないのか、どこまでやれるかは地域・社会の気運にかかる――と参加者にハッパをかけた。

今回のフォーラムはあくまで函館市によるもので、後援や共催として「JR北海道」や「北海道」、はたまた「国交省」の文字はない。聴講した道関係者は「“むずかしい”との立場」と語る。果たして、今後どのような潮流になってゆくか、函館市が実現を目指す「札幌延伸の時」は遠い話ではない。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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