深刻化する最貧国の経済、日本は支援で指導力を 国際開発協会めぐる増資の行方と日本の役割
そうした中、国際開発協会(IDA)の増資交渉の行方が注目されている。
IDAは、世界銀行グループの一機関であり、特に所得水準の低い開発途上国に非商業ベース(超長期・低金利)での融資や贈与(グラントの提供)を行っている。
IDAが安定的に低所得国に対する支援を行っていくためには、加盟国からの継続的な資金拠出が必要とされる。そのため、IDAでは通常3年間を1つの期間として資金計画が立てられ、加盟国からの追加拠出の規模や資金の使途等に関する増資交渉が行われることとなっている。
1960年に設立されたIDAは、前回増資が20回目の増資(IDA20と呼ばれる)であり、IDA20は2022年7月から2025年6月までの3年間を対象としたものになっている。今年は2025年7月以降の資金計画を決める21回目の増資(IDA21)の交渉の年である。
IDAの資金配分の仕組みとは
IDAの資金は、加盟国からの出資や融資による支援のほか、過去のIDA融資の返済による内部資金や、IDA18で導入された市場調達資金で成り立っている。IDAの支援資金は、使途が特に限定されていない「国別配分」と、特定の目的に用いる「特別枠」に振り分けられ、IDA20では全体の約7割が「国別配分」に割り当てられる計画である。
国別配分は、政策環境や制度の整備度合い、人口規模、所得水準に応じた計算式(PBA:パフォーマンス・ベースド・アロケーション)に基づき、各国に配分される。配分された資金は、受け取る国の所得水準や債務持続可能性に応じ、融資またはグラントとして提供される。
例えば、世界銀行とIMFによる低所得国の債務分析で、「債務リスクが高い」と判定された国には、全額グラントとして支援が行われる。それ以外の国には、例外的な場合を除き融資による支援が提供される。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら