「新幹線国際会議」台湾で開催、何を議論したのか 高速鉄道に関心持つ世界の要人がずらり参加

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年1回、IHRAの年次会議が開催される。これまで東京や大阪など日本国内で開催されることが多かった。台湾での開催は2016年に続く2回目である。

高鉄は2007年の開業後、利用者数が計画を大きく下回り経営は悪化の一途をたどっていた。2015年に政府の出資増などのリストラ策を講じ、ようやく息を吹き返した。その意味で2016年は胸を張って実績を語れる状況ではなかった。

その後、利用者数は着実に増加し、現在の1日平均輸送人員は21万人。コロナ前で60万人台の東海道・山陽新幹線には及ばないが、同24万人の東北新幹線に匹敵するレベル。北海道・上越・北陸・九州新幹線の各新幹線の輸送人員も凌駕する。今回の会議で記者から「実績が世界に認識された」という発言が出るのも当然だ。

台湾高鉄 700T
新幹線システムを採用した台湾高鉄の車両(記者撮影)

「JRとは違う高鉄独自の取り組みで、世界に誇れるものはあるか」と江会長に尋ねると、即座にこんな答えが返ってきた。

「開業当初、切符は駅の窓口でしか買えなかったが、2010年にコンビニで取り扱いを始めて1万店で買えるようになった。2011年にはモバイルチケット化も始めた。こうした取り組みは海外の鉄道事業者にも参考になるのではないか」

新車両はN700Sを「参考にして開発」

そして、31日の会議当日は12の国・地域から鉄道事業者、政府関係者、学者、専門家など総勢200人が参加した。冒頭、陳建仁・元副総統が会場に駆けつけてスピーチを行った。

「かつて、台湾には列を作って並んでバスや鉄道を待つという習慣がなかった。しかし、高鉄の開業により誰もが列を作って並ぶようになった。また、高鉄の定時運行率は99.6%と非常に高く、時間を守るという習慣も作った。つまり高鉄は国民の習慣を変えた。この会議には海外から多くの学者が来ている。ぜひ高鉄の取り組みを見てほしい」

陳元副総統に続き、江会長が壇上に立った。「列を作って並ぶようになったのは、高鉄ではなく1996年開業の台北メトロ(MRT)がきっかけ」と苦笑しながら陳元副総統の発言を訂正したが、この点に関して高鉄の貢献は間違いないし、高い定時運行率により効率的な生活を送れるようになったという点でも高鉄が国民の生活を変えたのは確かだ。

また、江会長は高鉄の成功要因として、JR各社のサポートが得られたことのほかに、当初はフランス国鉄やドイツ鉄道から運行管理の専門家や運転士を招き、2008年に入って人材の現地化を実現したことも説明していた。また、保守作業の機器については独自に開発していることも説明した。そして、前述のチケット販売戦略。これらのことから、台湾の高速鉄道は日本の100%コピーではなく、「台湾オリジナル」の要素がたくさんあることを強調したいのだと感じた。

高鉄にはJR東海が開発したN700Sをベースとした車両を2026年から導入する計画がある。江会長は、「N700Sを購入するのではなく、N700Sを参考にして開発する」と説明し、やはり、台湾オリジナルの要素があることに言及した。また、その調達価格の高さを指摘する声については、「メンテナンスや財務面も考慮した合理的な価格である」と説明した。

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