ヨーロッパ勢も、昨年から自動運転・コネクテッドなどの分野で先行する、中国メーカーの技術を活用し、開発プロセスの短縮を図ろうとする動きが見られるようになってきた。
ドイツのフォルクスワーゲンは、新興BEVメーカーの小鵬汽車(シャオペン)に7億米ドルを出資し、そのプラットフォームと自動運転システムを活用した中型BEVを2026年に投入する予定だ。
また、上海汽車との合弁である上汽フォルクスワーゲンは、主力モデルの「ティグアンL(ロング)」に、DJI Automotive(民生用ドローン最大手DJI傘下)が開発した自動運転機能「IQ.Pilot」、テンセントのSNS機能、iFLYTEK(アイフライテック)の自動音声機能を採用し、ガソリン車で既存のファンをキープしようとしている。
ステランティスは2023年、新興BEVメーカーの零跑汽車(リープモーター)に15億ユーロを出資した。両社は、オランダで合弁会社「零跑国際(リープモーター・インターナショナル)」を設立。ステランティスの製造力と販売網を生かし、グローバルでBEV事業の拡大を目指す。
技術を“与える側”から、“もらう側”への転換
中国国内での乗用車出荷台数を見ると、2024年1~9月は前年同期比1.6%減。中国政府は、今年3月からNEVや排気量2.0リッター以下のガソリン車に対し、買い替え補助金政策を実施しているものの、新車需要の減速は続く。
BYDなど、中国勢の値下げ攻勢や電動化の進行は、ガソリン車販売を中心とするに日系メーカーの事業基盤を侵食している。日系メーカーは人員の削減、生産ラインの再編、調達戦略の見直しを通じて、生産能力の適正化を行う一方、中国工場の輸出拠点化にも取り組みはじめた。
現在の中国では、内燃機関技術が新車販売の差別化要因にならず、かつて中国勢の成長を引っ張ってきた日系車ブランドが技術を“与える側”から、“もらう側”へと立場を変えつつある。
中国製BEVの競争力が、グローバル市場でも無視できないレベルに到達している今、従来型のモノづくりと製品戦略では立ちいかない。中国のサプライチェーンとエコシステムを活用した、グローバルモデルの開発手法を“適用”する時代になりつつあるのだ。
日系メーカーは戦略的優先事項を見直し、中国戦略に絡む第三国ビジネスや異業種のパートナーとの協業体制を構築する必要があるだろう。
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