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セブン海外戦略キーマン語る「欧州進出が最優先」 毎年2カ国進出、現地で積極的なM&Aを検討

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日米共同で設立されたセブンーイレブン・インターナショナル(7IN)。その7INを軸に、セブン&アイは海外戦略を大きく転換しようとしている。

わかばやし・けん/1971年生まれ。94年セブン−イレブン・ジャパン入社。同社執行役員、セブン-イレブン・インク取締役国際本部長などを経て、2024年から現職(写真:セブン&アイ・ホールディングス)

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カナダ同業大手、アリマンタシォン・クシュタールから初期段階の買収提案を受けたセブン&アイ・ホールディングス。同社の取締役会は9月6日、「本提案は、当社の本源的価値およびそれら価値を顕在化する機会を著しく過小評価している」として、買収提案に「賛同できない」との回答を行った。
今後は回答を受けたクシュタールの動向が焦点となる。そしてその過程で、セブン&アイの成長戦略の中味が厳しく問われることになりそうだ。
セブン&アイの成長戦略でカギを握るのが、日米に次ぐ第3の柱の育成だ。2022年には日米コンビニ子会社による合弁で設立されたセブン-イレブン・インターナショナル(7IN)が本格稼働。「毎年2カ国への進出」などを掲げ、北米以外での海外展開の拡大を急いでいる。
セブン&アイは海外戦略をどう変えようとしているのか。そして次の進出国は? 海外戦略のキーマンである7INの若林健社長を直撃した。(インタビューは8月末に実施した)

7INの設立でスピード感が格段に増した

ーーセブンーイレブン・インターナショナル(7IN)設立の経緯について教えてください。

もともと当社グループのグローバル(日米以外の海外)事業は非常に複雑だった。担当部署は2つ。日本のセブン-イレブン・ジャパンの国際部と、アメリカのセブン-イレブン・インクの国際部だ。ジャパンの部長が阿部(真治氏、現7IN会長)、インクの部長が私だった。

「セブン-イレブン」ブランドはアメリカで生まれたので、グローバル事業はブランドの商標を持つインクが中心だったが、エリアライセンシーの店舗はアジアに多い。彼らがベンチマークするのも日本のセブン-イレブンで、「ジャパンのノウハウを教えてほしい」という要望が多かった。それで彼らへの支援は、アメリカの国際部からジャパンの国際部に依頼するという体制を取っていた。

2020年頃から日米両社の国際部の統合プロジェクトが始まり、1年以上の統合作業を経て、2021年に7INを設立した。アメリカが持っていた商標権や関連事業もすべて7INに移し、2022年に本格稼働を始めた。1つの会社になったことで、意思決定も予算も1つになり、事業展開のスピード感は格段に増した。

ーー今年4月には約1700億円でオーストラリアの現地ライセンシー(約750店舗展開)を買収しました。

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