バイト→ココイチFC社長に大抜擢、22歳諸沢莉乃「意欲と学ぶ姿勢」育んだ背景 「自分を見つけるため遠回りしても遅くはない」

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「ただ、時間を守ることや挨拶などの礼儀には厳しかったですね。実は、西牧会長もよく従業員に対して『挨拶や礼儀など、人として大切なことを磨くためにうちを使ってね』と言います。つまり、わが家も会社も、人としてどうあるべきかという点を大事にしている。この仕事を長く続けてこられたのは、ここが一致したことも大きいです」

高校生の頃から重要な仕事を任され、22歳という若さで社長に大抜擢された諸沢さんは、現在の学校教育をどう見ているのか。公立の小中学校と私立高校で過ごした自身の経験を振り返り、こう語る。

「実質、高校卒業後は主に大学進学か就職しか選択肢がありません。正直、私はその二択の中で将来どうすればよいかわからず悩みました。夢も決まってないのに、何となく大学に行って遊んでしまったら何も得られません。アルバイトをしながらいろんな経験をしたり資格を取ったりしてから大学に入ってもいいし、アルバイトが合っていればその道を究めてもいい。自分を見つけるためには遠回りをしても遅くないと思うので、いろんな選択肢を生徒たちに提示してほしいですね。

また、昔よりも世間の目が厳しく、思うようにできないと葛藤している先生はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。先生方がもっとやりたいことをやれる環境があってほしいと思います」

社長の打診があってから経営学やマーケティングなどを学び、今年5月に社長に就任した諸沢さん。今後3年間で、西牧会長のサポートを得ながら業務を段階的に引き継ぎ、その後は、諸沢さんと同時期に抜擢された若手ブレーンたちと共に、本格的に経営のかじ取りを行っていく。

現在、スカイスクレイパーが運営する店舗は27店舗。「創業者の理念を現場に伝え続け、同じ思いで働いてくれるスタッフを増やし、店舗数も拡大していきたい」と、諸沢さんは話す。どんな人材を必要としているかと問うと、「具体的な人材像はない」ときっぱりと言い、こう続けた。

「『あなたはこうなりなさい』は絶対だめだと思うんです。何か夢があるならば、その夢をかなえるためにうちの仕事がどう生かせるかを考えて仕事に取り組み、一生使える何かを学んでほしい。それぞれの幸せの価値観に合わせて、成長してもらいたいと考えています」

今後、諸沢さんが社長としてどのような手腕を見せるのか。楽しみだ。

諸沢莉乃(もろさわ・りの)
スカイスクレイパー代表取締役社長
2001年生まれ。高校1年生のときにアルバイトとして同社に入社。翌年には「全国接客コンテスト」で決勝進出を果たす。2021年に全国のココイチで当時15人しかいなかった接客のスペシャリストに認定。その祝いの席で「次期社長に」と抜擢され、2024年5月より現職。座右の銘は「高め愛」

(文:國貞文隆、編集部 佐藤ちひろ、写真:スカイスクレイパー提供)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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