進化する脱炭素株主提案、投資家の賛同に手応え 提案者のマーケット・フォースCEOに聞く

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――株主提案で連携する気候ネットワークは2020年、気候変動問題に関する株主提案をみずほフィナンシャルグループに対して行いました。マーケット・フォースとしては、翌2021年に三菱UFJフィナンシャル・グループを皮切りに、メガバンクに対しては4年連続で株主提案を提出するなど、金融機関への働きかけに力を入れています。これまでにどのような成果がありましたか。

メガバンクでは、これまでに気候変動対策、脱炭素化への方針強化がなされてきた。そうした方針策定に加え、特に石炭火力発電所の新規拡張や一般炭採掘プロジェクトへの新規融資中止、一般炭関連プロジェクトへの融資残高を将来的にゼロにするといった目標設定に影響を与えたと考えている。また、3メガバンクが、投融資ポートフォリオについて2050年までに温室効果ガス排出量のネットゼロという目標を設定したことも、過去5年における私たちの取り組みの成果だと認識している。

昨2023年の株主総会を前に、3メガバンクは環境破壊や地域社会への悪影響が問題視されている東アフリカ原油パイプライン(EACOP)プロジェクトへの不参加を表明した。これは、個別プロジェクトでの働きかけの成功例だ。

総合商社にも石炭火力撤退を求める

――総合商社やエネルギー企業にも働きかけを強めています。こちらの成果はどうでしょうか。

マーケット・フォースは2021年、住友商事に対し、パリ協定の目標に沿った事業活動のための戦略を記載した計画の策定および開示を求める株主提案を提出。約20%の賛成票を獲得し、その後の石炭火力発電に関するポリシーの改善につながった。住友商事は2022年2月、バングラデシュのマタバリ2石炭火力発電事業から撤退すると発表した。これも取り組みによる成果の1つととらえている。

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