誰もが信頼している製品・サービスに潜む脆弱性 まさかの「アップデートしたら感染」する事例も
脆弱性がまったくない製品やサービスは存在しない
――利用しているソフトウェア製品やサービスそのものに潜んでいるサイバーリスクには、どのようなものがあるのでしょうか。
佐々木:まずはソフトウェア自体、あるいは製品のアップデートなどを配布する経路が汚染されるケースがあります。例えば、ソフトウェアにバックドア(システム内部に不正侵入するための入り口)や侵入につながる脆弱性が含まれたまま配布されるのです。これには悪意のある攻撃者が意図的に組み込むものと、メーカー側の何らかの不備で脆弱性が含まれ悪用されるものがあります。
もう1つは、ベンダーによる遠隔からの保守などが狙われるケースです。このようなサービス提供者をマネージドサービスプロバイダー(MSP)と呼びますが、このMSPが攻撃されて利用する端末が汚染され、これを足がかりにユーザー環境に侵入されます。
一般的に「サービスプロバイダーのアクセスは安全だ」という認識があるので、とくに対策がされていないことも多く、簡単に侵入されてしまうのです。製品アップデートの流通経路やMSPのアクセスのように、もともと信頼しているものが利用されると、対策は難しいものがあります。
――製品に含まれる脆弱性とはどのようなものですか。
福本:ソフトウェアの欠陥や不具合である「バグ」の中で、セキュリティに関係するものを「脆弱性」といいます。バグは製品をリリースする前に潰すのですが、どうしても何かしらが残ってしまいます。つまりバグが起きない製品がないように、脆弱性のない製品も存在しないのです。現状のソフトウェアは部品を組み合わせて作るので、いずれかの部品に脆弱性が含まれているケースもあれば、設計やコーディングの不備から生まれる脆弱性もあります。
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