こうした活動が認められ、2021年日本トイレ大賞や「日本を変える10人の10代」に選出されました。
そしてそんな彼女も、受験の時期を迎えます。もともと彼女は東大を一般受験で目指していました。きっかけは、たくさんの個性がきらめく環境に足を踏み入れたい、いろいろな専門分野の人と話して見聞を広めたいという憧れだったと言います。推薦入試に関しては存在すら知らず、とにかく努力して少しでも近づけるよう、がむしゃらに机に向かったといいます。
周りの東大志望の生徒が1を聞いて10や100を理解する中、彼女自身はどう頑張っても最大で1、0.8でも理解できたらよいほう、ほかの人の10倍でも、100倍でも努力しないと同じスタートラインには立てないと感じたそうです。
とくに高校3年間のうち1年を研究留学に費やすというブランクもあり、1日20時間勉強を続け、高校1年の留学前に高校3年間の内容を終えて渡米。そんな勉強づけの毎日でも、唯一ホッと一息つける場所は、やはりトイレだったと言います。
帰国後は営業やプロダクト作成、PR広報などに追われるも、大学に入ってさらにこの社会課題を専門的に見つめ分析したいという思いで、しっかりとメリハリをつけて平日は学業6割、仕事4割、休日は学業8割、仕事2割と決めて1日に最低12時間は机に向かう時間を確保しました。
塾に通っておらず、また学業以外の活動について学校の理解もあったことから、わからないことがある度に職員室で根気強く先生方に教えてもらったそうです。その結果、高校2年生で東京大学の過去問70年分を3周し、3月の東大入試同日では全国1位を取るまでに成長を遂げました。
では、なぜ彼女が推薦入試に挑戦することにしたのか。それは出願締切の数週間前に恩師からいただいたオファーが決め手でした。
推薦入試は、一般で合格することを第一に考えていた彼女にとって二兎を追うような非常に勇気のいる選択。さらに、自身の活動がメディアに出たり、表彰という形で評価されたのは紛れもなく自分を支えてくれた周りの力あってのことであり、その成果物を自身の大学進学という素材に使うことに対して非常に抵抗感があったと話します。
しかし、最終的に支援者の1人から「今後大学に入ってからさらに学びが深まり、社会に貢献してくれるのならそれが本望だ」とのお声をいただいたこと、そして面接などは入学前に自分の関心分野を専門にする教員と対話することができる貴重な機会だと考え、一般入試に加えて推薦型での受験を決意しました。
正確に言えば、合否についてはまったく気にしておらず、自身のプロダクトの営業や今後の展望に対してフィードバックももらえたらラッキーだな、といったようなラフな姿勢だったそうで、面接官の教授など1人でも多くの人の目にこの課題が映り考えるきっかけになってほしい、その想いでの受験でした。
出願を決めたのが締切数日前だったため、過去に取り上げていただいたメディアの記事や自身の言葉を元に志望理由書を作成したそうです。
合格できたのは「熱意」と「姿勢」のおかげ?!
1次の書類審査が通った後も、とくに面接の対策はせず、一般の試験対策として迫り来る共通テストの対策を淡々と進めました。彼女の場合、テレビや講演会など「自分の言葉で想いを伝える」場に恵まれていたので、あまり緊張せず当日を迎えられたそうです。