依存症への進行が速い「オンラインギャンブル」、高校生にも広がる危険な実態 教育が重要、「ギャンブル依存症」の教員も多い

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では、実際に子どもがギャンブル依存症になってしまったら、どうすればいいのだろうか。田中氏によれば、①依存症に対するスティグマを払拭すること、②本人が相談しやすい体制を作ること、③家族が正しい知識を持つこと、という3つがポイントだという。

「まずは偏見を捨て、家の中で抱え込まずにご家族が相談機関に行きましょう。そして、本人の借金の尻拭いをしないこと。家族がいっさいお金を出さなければ、本人も相談に行かざるをえなくなりますから。民間の相談機関である当会では、さまざまな職業や年代のギャンブル依存症経験者が支援に当たっていて、相談者の状況に合わせてGA(Gamblers Anonymous:自助グループ)や回復施設につないだり、借金の解決に当たったり、きめ細かいサポートを行っています。高校生や大学生の当事者の場合も同様に、GAを紹介して、歳の近い仲間とつないであげるようにしています。ギャンブルサイトをブロックするアプリ『Gamban』をスマホに入れ、本人の家族にパスワードを設定してもらうなどの環境づくりも支えています」

実は「学校教員」にも多いギャンブル依存症

ギャンブル依存症の若年層が増える一方で、親のギャンブル依存症に悩む若者たちもいる。

「ギャンブル依存症は、家族にも大きな影響を与える問題。ギャンブル依存症の家庭では子どもの不登校は多いですし、学校講演で『学生の間にギャンブルをやると人生が台無しになってしまうよ』と話すと『もっと早くこういう話を知っていたら、親は離婚せずに済んだかもしれない』と言う子もいます。父親のギャンブルで家族が揉めている時に依存症の問題を知った高校生は、母親にGAM-ANON(ギャマノン:当事者の家族のための自助グループ)を勧め、そのことを機に父親もGAに通うようになったケースがありました。知識があればできることがありますから、教育は重要です」

では、学校ではどんな対策が必要だろうか。新学習指導要領では高校の保健体育にギャンブルを含む行動嗜癖が盛り込まれているが、十分と言えるのだろうか。

「子どもたちに正しい知識を伝える取り組みは、まだまだです。中学生くらいから教育を行うべきでしょう。一方で、実は、ギャンブル依存症当事者の職業のトップ3に入るのが教員です。教員は完璧を求められるうえ、一人で問題や悩みを抱え込みがち。アルコール依存症も教員は多いと聞きます。まずは教員のメンタルヘルスのためにストレス対策が必要だと思いますし、教員が依存症の教育を受けられるようにしてほしいですね」

ギャンブル依存症から回復するには、早めに相談し、GAとつながることが重要だという。同会のような民間の支援団体のほか、全国の保健所や精神保健福祉センターで相談を受け付けている。厚生労働省の「依存症対策」や消費者庁の「ギャンブル等依存症でお困りの皆様へ」などのウェブページにも、相談先のほか、ギャンブル依存症について理解を深める情報がまとめられているので参考にしてほしい。

(文:吉田渓、注記のない写真:Graphs/PIXTA提供)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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