依存症への進行が速い「オンラインギャンブル」、高校生にも広がる危険な実態 教育が重要、「ギャンブル依存症」の教員も多い

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田中 紀子(たなか・のりこ)
一般社団法人ギャンブル依存症問題を考える会 代表
1964年生まれ。祖父、父、夫のギャンブル依存症に悩んだ経験を持ち、ギャンブルと買い物依存症の当事者でもある。夫と共に、ギャンブル依存症の問題から自助グループで回復。この経験を伝えていきたいと、2014年に同会を立ち上げ、ギャンブル依存症の問題を持つ当事者や家族からの相談支援に対応するほか、講演活動などを通じて啓発活動を行っている。著書に『ギャンブル依存症』(角川新書)、『祖父・父・夫がギャンブル依存症!三代目ギャン妻の物語』(高文研)
(写真:本人提供)

また田中氏は、オンラインのギャンブルは依存症になるスピードが速く、重症化しやすい傾向にあると警鐘を鳴らす。

「麻雀やパチンコなどと違い、オンラインカジノやスポーツベットは24時間365日できてしまうので、やめ時がありません。また、いくらでも賭けられるのであっという間に使う金額が大きくなります。親御さんが気づいた時には600万円入っていた銀行口座が空になっていて、慌てて相談に来たケースがありました。オンラインの公営競技においても、3000万円をつぎ込んだ高校生もいます。両親、祖父母、おじおばまで親戚中のお金を使っていたのですが、お金を出さないと暴れてしまうので、大人たちがお金を出し続けてしまったのです。とくに地方は世間体を気にして家族で抱え込む傾向があり、深刻な問題となっています」

同会が研究者と行った調査では、ほどほどにギャンブルを楽しめる愛好家のギャンブル開始年齢が平均30.6歳であるのに対し、依存症者は18.1歳という結果が得られたという。

「ギャンブルを始めるのが早いほど依存症になりやすい傾向があると言えます。少なくとも学生の間はギャンブルをやらないほうがいいでしょう。昔からギャンブルをやっている学生はいましたが、麻雀やパチンコなどリアルなものが中心で、一気に依存症になることはありませんでした。しかし、今の若年層はオンラインのギャンブルがメインなので、あっという間に依存症になってしまうのです」

ギャンブル場に子どもを連れて行ってはいけない

ギャンブル依存症になりやすいタイプや傾向などはあるのだろうか。

「ギャンブル依存症は誰でもなる可能性がありますが、第一の危険因子は遺伝だと言われています。また、親が依存症ではなくても何かしらギャンブルをやっていれば、その子どもは小さい頃からギャンブルに親しむことになり、依存症のリスクが高くなります。近年はさまざまな公営競技でキッズスペースを設けたり、子ども向けイベントを行ったりしていますが、ギャンブルが行われる場に子どもを連れて行ってはいけません。それで後悔している親御さんを何人も見てきました」

また、ギャンブルが身近にある環境で育った子のほかにも、ギャンブル依存症のリスクが高い子どもがいるという。

「海外の研究では、引退したアスリートはギャンブル依存症のリスクが高いことがわかっています。当会でも、運動部でバリバリ活動していた子が引退後や受験後に、打ち込むものがなくなってギャンブルにのめり込んでしまうという相談は多いですね」

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