セキュリティー専業GSX、年25%成長を支える戦略 出資・提携やファンド創設の狙いを社長が語る

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ブロードバンドセキュリティには22%を出資した。同社はセキュリティーサービスの中でも、大手や準大手企業を主要な顧客層としており、当社の顧客層とは少しずれている。約250人のエンジニアがいて、SOCを運用していること、金融系カード会社のセキュリティー対策に強いこと、東南アジアに拠点を持っている点が魅力的で、シナジーが十分に見込める。

売り上げは安定的に伸びているが、利益の変動が激しい時期もあり、株価が低迷していた。今後、経営戦略を一緒に練ったり、アドバイスをしたりすることで、シナジーを作っていきたい。なお資本提携で、業界再編や業界をどうこうしていこうとは考えていない。

同業ベンチャーを支援する理由

――セキュリティー企業がセキュリティー企業に投資するというファンドの設立を3月に発表しました。狙いは?

セキュリティーの業界は製品系とサービス系に分かれる。当社のようにコンサルや脆弱性診断といった、サービス系を提供する会社は、日本というドメスティックなマーケットで、準大手や中堅、中小企業にちょうどいいサービスを提供すれば生き残ることができる。

一方で製品系の会社は海外勢との競争が激しい。かつて、(ネットワークを守る)ファイアウォールや、(パソコンやサーバーなどの端末を守る)エンドポイントでは日本の製品も結構あったが、ほとんど海外勢に負けてしまった。

GSX青柳社長
青柳 史郎(あおやぎ・しろう)/1975年生まれ。1998年、ビーコンインフォメーション テクノロジー(現ユニリタ)入社。2009年1月、クラウドテクノロジーズ取締役を経て 、2012年3月にグローバルセキュリティエキスパート入社。2018年4月に社長就任(撮影:今井康一)

加えて、アメリカやイスラエルは、国を挙げて世界中の脅威情報(どんなサイバー攻撃集団が活動しているか、どういった攻撃を行っているかなどの情報)を集めている。そこで集められた脅威情報が海外勢の製品に反映されているので、勝てっこない。日本企業が製品系で生き残るには、日本の市場環境にあわせたラインナップを展開するしか道はないだろう。

今、日本にはセキュリティー対策が十分ではない中堅、中小企業がたくさんある。一方で、セキュリティー企業そのものの数が少ないという問題がある。

そのため、セキュリティーの企業が新しく生まれたら、ベンチャーキャピタルは投資してくれるかもしれないが、こうした市場環境では自力で成長したり、IPO(新規株式公開)にこぎ着けたりするのは相当に難しい。

しかし、セキュリティー業界の人たちが出資するファンドであれば、有望な企業の成長を支援することができるはずだ。ファンドに出資する企業にとっても、投資先が成長したり、上場したりすれば儲けることができる。

出資を受ける企業も同じ業界の企業から、経営や営業の支援、顧客基盤の紹介などを受けることができる。投資する企業も、こうした企業の製品やサービスを自社のラインナップに加えることができるかもしれない。

そうすれば1社が単独で成長するよりも、加速度的に成長が早まるし、業界のつながりも深まる。その結果、日本全体のセキュリティーの水準も上がって、より守られることになるだろう。

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