海外の「ホワイトハッカー育成」は何が凄いのか? 強化すべきは産官学の「人材育成エコシステム」
日本でも防衛大学校にサイバー学科を新設する検討を始めているが、学生の受け入れは2028年度からの予定で、韓国の事例からは16年の遅れとなる。
喫緊の対応として、2024年3月21日に、久里浜駐屯地の陸上自衛隊通信学校を「陸上自衛隊システム通信・サイバー学校」と改編し、新たにサイバー教育部を設置して年間130人の人材を養成できるよう拡充した。
ただし、自衛隊の情報システムやネットワーク通信の監視・対応などを行う任務を想定しており、起業などその後のキャリア支援は想定されていない。将来的には官民交流も意識し、中長期で人材のエコシステムを作っていくことも重要だと筆者は考える。
日本の優秀層はどのようにキャリアを築いてきたか?
では、日本の優秀なホワイトハッカーは、どのようにキャリアを積んできたのか。セキュリティ業界の黎明期だった1990年代後半は、仕事を自ら切り開いてきた方が多く、中でもセキュリティ会社の創業に関わった方が各所で活躍していた。
2001年頃になると、Windowsサーバーに感染するコンピューターウイルスが社会問題になり、ファイアウォールの導入やOSのバージョンアップの緊急実施が各企業で発生。それに伴い、主にネットワークやシステム運用を扱う現場から、セキュリティ対応ができる人材が自然発生的に生まれた。
この時期にセキュリティ人材のニーズが日本の組織でも急拡大し、2000年代前半は攻撃・防御・監視のスキルを競い合う大会「セキュリティ・スタジアム」が有志によって開催されるなど、人材育成の機運が生まれていったように思う。
経済産業省所轄のIPA(独立行政法人情報処理推進機構)主催「セキュリティ・キャンプ」が始まったのもこの頃だ。国費で交通費・宿泊費・食費・教材費がすべて無料で学べる場である(関連記事)。
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