海外の「ホワイトハッカー育成」は何が凄いのか? 強化すべきは産官学の「人材育成エコシステム」
2021年、オーストラリアのウェスタンシドニー大学では、政府から約75万ドルの資金援助を受け、中小企業向けにインシデントについて無料相談できる「Western CACE」を立ち上げて、キャンパス内にオペレーションセンターを設置した。
同大でサイバーセキュリティと行動学の学士号を取得した約80人の学生が、インシデント対応の訓練を受けたうえでオペレーションセンターにて中小企業の相談に当たっており、法学部の学生の手伝いも得ながら運営を主導している。
ニューサウスウェールズ州の主要なサイバーセキュリティ企業であるEmergence、Gridware、DCEncompass、Secolveとも提携し、センターが提供するトレーニングプログラムを通じて中小企業のセキュリティスキルを向上させる活動も実施している。
無料の法律相談や医学部の研修制度も参考に
「誰も取り残さないセキュリティ」は民間の自助努力だけでは困難で、国の予算、そして産官学と各地域の連携が必要だ。このような取り組みにトップオブトップの人材は必ずしも必要ない。タイやオーストラリアに見られる連携の仕組みは1つの有効な方法だろう。
人材育成の実地訓練と現場の課題解決を同時に行う試みは、実は日本にもある。医学部の研修制度がまさにそうだし、多くの大学の法学部では、地域の人たちに向けて、現役学生と弁護士資格を持つ卒業生が無料の法律相談を定期的に実施する文化がある。
サイバーセキュリティの分野の「数不足」を補うためにも、海外の好事例や国内の他分野の優れた取り組みを参考にしながら、「人材育成のエコシステム」をそろそろ本格的に構築する必要があるのではないだろうか。
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