BMWが「新しいクラス」を相次いで打ち出す狙い ノイエクラッセが示す「i」とは別のBEVの世界
それでも「アルティメット(究極の)ドライビングマシン」というBMWの製品ポリシーは追求されるそうだ。
もうひとつ、エンジニアリング面での新しさは、ECU(エレクトロニックコントロールユニット)を統合していくというコンセプトにある。
これはドライビング、シャシー、ブレーキング、ステアリングの制御を「ひとつのユニットで」というもの。
「私たちはこれを“スーパーブレイン”と呼んでいます。今回は、他に自動運転など4つのスーパーブレインを使いますが、将来的には1つへと統合していきます。これでパフォーマンスは現行の10倍の速さになるでしょう。これまでどのメーカーも手がけていないコンセプトです」(グリース広報部長)
現行モデルでは、制御する分野が増えるにつれ、ECUの数も増えてきていた。100基を超えるECUを搭載するクルマも市場には存在する。それらがひとつのセンサーからの情報を演繹し、場合によっては複数のECUがワイヤで結びつき、たとえば加速や減速の制御を行う。それでは遅い、というのがBMWの考えだ。
「リダンダンシー(万が一にそなえての多重化や予備の回路増設)の問題さえ解決できれば、単一目的のECUを数多く働かせているのは、時間がかかるだけで無意味なのです。それを効率化することが統合の目的です」(グリース広報部長)
「ニッチ」ではなく「再定義」
ツィプセ会長は、「ノイエクラッセは、ニッチ(市場のすきま)を狙ったコンセプトではありません」と言う。「デザイン、テクノロジー、フィロソフィにおいて、BMWを再定義する内容を持っているのです」と。
車内のデジタライゼーションにおいても、ビジョン・ノイエクレッセは、新しい時代の先駆けを感じさせる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら