日本の生保業界のアウトルックを「ネガティブ」に変更《ムーディーズの業界分析》


 しかし、この動きは継続的な景気低迷により反転する可能性がある。震災のマイナスの影響から、経済の短中期的な見通しは不透明となり、生命保険業界の信用リスクに下方圧力がかかっている。

こうした中、金融庁によるソルベンシー規制の改定作業が進んでいる。その目的は、経済価値ベースのソルベンシー規制制度への移行にある。資産に加え、負債の経済価値ベースの評価は、そのデュレーションが15年以上と予想されるため、生命保険会社にとって大きな課題である。

ムーディーズは、生命保険会社の信用力と、事業を展開する国の間には一定の相関があると見ている。これは、生命保険会社の資産の相当部分が国債であるためである。日本国債の信用力低下は業界の格付けを圧迫する可能性がある。

国内債ポートフォリオ全体に占める残存期間10年以上の国内債の割合

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業界見通しとは異なり、現在のところ、生命保険各社の格付け見通しは安定的としている。これは、日本の生命保険会社の国内市場での比較的強固なプロファイル、多角化された商品、財務の柔軟性、低水準の債務を背景としたものである。

とはいえ、ムーディーズは、業界見通しに示した下方圧力をはじめとする動向を注視し、生命保険会社の格付け見通しにその見解を反映させていく。

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