国家非常事態委員会によるソ連共産党守旧派のクーデターは失敗した。ただしクーデターはその後も続いた。エリツィン・ロシア大統領を中心とする民主派が、国家非常事態委員会を打ち破った勢いに乗って、ソ連憲法の枠組みを無視した国家権力奪取を始めたからだ。
「権力の文法」知る守旧派との人脈
このタイミングで、筆者は守旧派との人脈をつくることが日本にとって有益と考えた。守旧派は政治犯と見なされるようになったが能力、道徳性の双方で優秀な人たちだ。守旧派政治家を追い剥ぎや盗人のように扱うのは間違っている。この人たちが権力の中枢になることはないとしても、政治プレーヤーとしては残る。「権力の文法」を知っている守旧派政治家から情報を取り評価を聞くことには、実務上の利益もある。
そもそも米国やドイツの外交官は、守旧派との人脈が細い。イデオロギー的観点から西側諸国は民主派を重視しているので、米国大使館やドイツ大使館が持つ守旧派との細い線も近いうちに切れてしまう。この状況を利用して、日本大使館が守旧派との人脈を独占してしまうのだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら