戦争のない社会は遠く、2024年現在も世界各地で戦争が行われている。技術が進歩した近現代の戦争は多数の人的被害を生むことになった。膨大な死者・負傷者の発生は戦争の負の影響として認識されやすいが、その負の影響は戦後も続く。
第2次世界大戦期の日本では20〜30代男性を中心に死亡者が増加し、1947年時点で「未亡人」(夫と死別した女性)は188万人を超えていた。夫の死亡によって世帯の稼得能力が著しく低下した未亡人は、同時代の人々から「戦争による被害を実質的に最も強く受けている階層」の1つと見なされていた。
本稿では、第2次世界大戦後の未亡人が社会からどのように救済されたかを、日本の村役場文書から検証した研究を紹介したい。
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