思考停止で手を染め続けた。
「保険料についてですが、〇〇(具体的な保険料の計算式)の形で提示していただくことは可能でしょうか」
そうした内容のショートメッセージを、スマートフォンから2022年11月に発信したのは、東京海上日動火災保険のある中堅社員だ。東急グループ向けの契約を担当しており、次期契約の入札を翌月に控えていた。
送信した相手は3人。損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険で東急との契約を担当している社員たちだ。
その契約とは、大企業向け火災保険の一種である「企業財産包括保険」。最大保険金額が兆円単位になる大型契約のため、大手であっても1社単独で引き受けるにはリスクが大きすぎる。そのため、複数の損保会社で引き受ける「共同保険方式」での契約だった。
提示する保険料を調整
共同保険となれば、各損保の営業担当者同士で、入札に向けた手続きの確認などのやり取りが欠かせない。そうして連絡を取り合ううちに、東京海上の社員が主導する形で、東急へ提示する保険料を調整していたのだ。
同年12月上旬に1回目の入札が実施されると、4社は事前に示し合わせたとおりの保険料を東急側の保険代理店に提示した。
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