宇都宮ライトレール、その人気で露呈した"欠陥" 何の対応もせず放置すると評価は下がり続ける
今までわが国でLRTの導入がはかどらなかったのは、財源と軌道法(車両長30m、速度時速40km)にあると言われてきた。しかし、助成制度が創設されて財源問題は解消した。速度については、諸外国では道路との併用軌道でも時速50~60kmだが、自動車や人との衝突事故の回避を強力な非常ブレーキで担保している。外国の設計・製造がルーツの宇都宮の車両もこのブレーキを装備している。しかし、わが国では急ブレーキ時の乗客の車内転倒事故防止を優先して、このブレーキは使用しない。したがって、併用軌道区間の速度向上は容易ではない。
現行法でも新設軌道区間は保安設備を整えれば時速40kmを超えることができる。現に阪堺電気軌道は時速50kmであり、西鉄北九州線は時速60kmだった。宇都宮は路線長の約36%が新設軌道であり、新幹線並みの立派な高架線もある。にもかかわらず時速40kmではいかにも低速だ。新設軌道を「道路のない市道と認定」して併用軌道の扱いにしたためである。助成金取得の面では有利だったのだろうが、速達性、つまり、利便性が犠牲になっている。
利便性を向上させるためには
「交通未来都市うつのみや」を目指すなら、その主軸となる利便性の向上、つまり、利用者へのより良い輸送サービスの提供を第1とすべきだ。「1日乗車券はすべてのドアから乗り降り可能で快適」とPRしているということは、旧来の方式の運賃収受は不便と認めていることにほかならない。こうした認識があるのなら、不便な旧来の方式の運賃収受は即刻取りやめるべきだ。
改善された路面電車がLRTと呼ばれてから半世紀以上が経ち、LRTに関するノウハウは諸外国にたくさんある。このノウハウを勉強して謙虚に採り入れるとともに、国内法規を最大限活用してLRT本来の機能と利便性を備えるべきだ。
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