米国のシェールに復活の兆し、過去最高の生産量 かつてOPECの宿敵だったが、再び存在感を強める
かつて石油輸出国機構(OPEC)の宿敵だった米国のシェールが、世界の石油市場で再び存在感を強めてきた。市場を左右する影響力では、OPECの足元にも及ばないとみなされていた数カ月前と状況は一変した。
テキサス州西部のパーミアン盆地からノースダコタ州のバッケンに至るまで、生産量はアナリスト予測をはるかに上回る水準に増えて過去最高を記録。一方のOPECと非加盟産油国で構成される「OPECプラス」は、価格下落に歯止めをかけようと生産にブレーキをかけている。
昨年の今頃、米政府の予測では今年10-12月(第4四半期)の国内生産量は平均で日量1250万バレルとされていた。予測は先日、同1330万バレルに上方修正。その差は世界の供給量にベネズエラが加わることに相当する。
来年の設備投資
この現象に世界は動揺し、供給過剰が価格に及ぼす壊滅的な打撃を防ごうと供給を抑制するOPECプラスの戦略に、疑念が生じるようになった。また米シェール企業には今も、OPECプラスの努力を台無しにできるほどの影響力があることが明らかになった。
ウッド・マッケンジーのアナリスト、ライアン・デュマン氏は「2023年の世界市場で米国が極めて大きな役割を果たしたことは明らかだ。それにはOPECプラスに生産抑制の圧力をかけたことが含まれる」とインタビューで述べた。
しかし予算を増やしてきたシェール企業が、再び引き締めに転じる可能性も示唆されている。エバコアによれば、来年の設備投資は業界全体でわずか2%増と予想されている。今年の19%増から減速し、2年前に記録した過去最高の44%増に大きく見劣りする。
KPMGの米エネルギー責任者、アンジー・ギルデー氏は「シェールブームの時のような熱狂的な掘削活況とは違う」と指摘。「重要ではあるが慎重に計算された伸びだ」とインタビューで述べた。
原題:US Shale’s Surprise Oil-Production Surge Poses Threat to OPEC(抜粋)
--取材協力:Mitchell Ferman、Grant Smith、Devika Krishna Kumar、Lucia Kassai、Will Kennedy、Joe Ryan.
More stories like this are available on bloomberg.com
著者:David Wethe、Mia Gindis、Kevin Crowley
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら