予想上回る雇用統計、米国の「利下げ期待」しぼむ 2024年の積極的な金融緩和期待が後退した

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8日発表の11月米雇用統計で雇用者数と賃金の伸びが市場予想を上回り、来年の積極的な金融緩和期待が後退。米国債利回りは上昇した。

米政策金利と最も密接な関係にある指標の2年債利回りは一時14ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇と、1日の上昇としては6月以来最大。この日は全ての年限が少なくとも6bp上昇した。

スワップトレーダーが見込む来年の米利下げ幅の見通しは約110bpと、雇用統計発表前の120bp強から縮小した。11月の非農業部門雇用者数は前月比19万9000人増と、エコノミスト予想中央値の18万5000人増を上回る伸びとなった。失業率は3.7%に予想外に低下した。

ロスMKMのチーフエコノミスト、マイケル・ダーダ氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「これは良好な統計だ。米金融当局がこれを見て、市場が既に織り込んだ来年の早期利下げを受け入れる必要があるとの思いに駆られることは全くないだろう」と語った。

金利先物スワップ市場に反映される3月の利下げ確率は40%と、雇用統計発表前の50%超から低下した。来年3月にも利下げ開始を織り込む債券市場は先走りし過ぎだと指摘していたストラテジストの意見が正当化される格好となった。

ウィンショア・キャピタル・パートナーズのマネジングパートナー、ガング・フー氏は、「今回の統計を受けて、利下げを口にできなくなるだろう」と述べ、「労働市場のトレンドは弱まりつつあるが、人々が思っていたほど弱くはない。インフレも緩和を支持してはいない」と指摘した。

関連記事:

  • 11月の米雇用統計、広く力強さ示す-市場の早期利下げ期待くじく (3)
  • 米雇用統計、投資家の利下げ期待に冷や水:市場関係者の見方 (2)
  • 米雇用統計で現実直視、トレーダーは利下げ観測で先走りし過ぎか (1)

 

原題:Fed Rate-Cut Exuberance Ebbs After Jobs Data, Boosting US Yields(抜粋)

--取材協力:Aline Oyamada、Ye Xie、Michael Mackenzie.

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著者:Liz Capo McCormick

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