迷惑行為続出「廃墟ホテル」撤去が難しい複雑事情 白樺湖の廃墟でYouTuberの撮影や肝試しなども
2021年11月には都内のスタートアップ「Sanu」が運営するサブスクリプション型の別荘2棟が、白樺湖湖畔にオープンした。同社は50年後の解体を前提に、自然環境に負荷の少ない工法で建築された宿泊施設を各地に展開しており、白樺湖を最初の拠点に選んだ。湖畔に新たな宿泊施設が建設されたのは約30年ぶりで、地域の新陳代謝を象徴するできごとだった。
福井さんは今春、38年前に両親が開業したペンションを全面改装し、宿泊客に長期滞在してもらえるよう部屋数を半減した。
池の平ホテルも67年営業してきた旧本館を解体し、今年4月下旬に全面改築した本館をオープンした。
長期滞在型の「レイクリゾート」を目指したホテルは、客室や大浴場、サウナから白樺湖を一望できる。
廃墟を取り巻く状況はそれぞれ異なる
矢島社長が改築を最終決断したのはコロナ禍に入ってからだ。
「地域と自社は一連托生。白樺湖の景観が少しずつよくなったから、決断ができた。時代のトレンドに左右される部分ではなく、地域の本質的な価値に重点的に投資していきたい」
湖畔の景観を損ねていたホテル山善は取り壊されたが、周辺にはまだ廃屋が残る。山善ホテルの対岸に建つ白樺湖グランドホテルも、2000年ごろに営業停止して以降放置され、開きっぱなしの玄関から入る野次馬が後を絶たない。
矢島社長は「廃屋を取り巻く状況は1件1件違い、一筋縄ではいかない。地域で協調しながら粘り強く道を探していく」と話した。
観光庁によると、コロナ禍に導入された「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」を活用した廃屋撤去は2021年度にホテル山善を含め42件、2022年度に125件、合計167件実施されたという。
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