迷惑行為続出「廃墟ホテル」撤去が難しい複雑事情 白樺湖の廃墟でYouTuberの撮影や肝試しなども

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祖父が投資を抑制していたこともあり、リゾートはバブル崩壊後も生き残ることができた。ただ、白樺湖を訪れる旅行者が減っていたため、ピーク時の1990年に100万人だったリゾートの来訪者は4割減まで落ち込んでいたという。自社の立て直しに10年を費やし、客足がある程度回復した2017年ごろから、矢島社長は地域の課題に目を向けるようになった。

「いろいろやってきたが、『バブル時代の観光地』という白樺湖のイメージが変わらない限り、自社もこれ以上の成長は難しい。特に廃屋の撤去は避けて通れない問題だった」

所有権や解体費の捻出など問題山積み

地域との関わりを増やし、白樺湖観光を取り巻く課題の整理を始めたが、知れば知るほど廃屋の撤去の難しさを実感したという。

白樺湖の湖畔周辺は、古くからの地主で構成される北山柏原財産区が土地を保有管理し、宿泊施設や別荘地に土地を貸し付けていた。バブル期まではそれで潤ったが、その後は経営破綻したホテルが廃墟化し、賃料収入が入ってこないだけでなく、一帯の資産価値に悪影響を及ぼしていた。

放置し続けることの悪影響は皆が認識していても、建物の所有権の問題や、解体費の捻出など難題が複雑に絡み合ってなかなか手が付かなかったという。

財産区には100を超える地主がおり、観光業との関わりの深さもそれぞれ違う。矢島社長は「それぞれ自分の仕事があるし、私も家業を継いで10年は従業員の離職をどう防ぐかというような自社の課題を優先してきた。しかし、白樺湖の将来について話し合いを重ねていくうちに、何とかしなければと考える人々が骨を折り、廃屋撤去の合意形成が徐々に進んでいった」と振り返る。

そうして2019年11月、柏原財産区が身銭を切る形で「白樺湖ホテル山善」南館が解体された。複数ある廃屋の中でも、湖畔のほとりに建ち景観を大きく損ねているのが2007年に破産したホテル山善だった。建物はタヌキの住処となり、外からタヌキの群れを確認することができたほどだという。

白樺湖 廃墟
解体前の白樺湖ホテル山善(本館)周辺の建物の状況資料(資料:柏原財産区提供)

信濃毎日新聞の報道によると南館の解体費は1億2000万円余り。柏原財産区の財産は大きく圧迫されたが、さらに大きな本館が残されていたーー。

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