大東市教育長・水野達朗が始めた「先生が抱え込まない」不登校支援の仕組み 民間の視点を生かし「教室復帰と居場所」を支援

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取り組みを始めて1年が経ったが、不登校の子どもを「学びへのアクセス100%」で示すセーフティネットにつなぐというあり方が、「学校や先生に浸透した」と水野氏は話す。学びへのアクセスは1日単位で計上して学校と市教委で把握しており、22年度は315人中、54人が何らかの学びにアクセスできたという。

不登校支援の充実は「すべての子どもの支援の充実」につながる

教育行政は予算がないとできないことも多い。そのため水野氏は、「大東市の教育に大投資!」と発信し、日々奔走している。

「不登校支援でも備品を求める現場が多いのですが、十分な予算がつきません。そこで、私が企業や地域団体を回って物品の寄贈をお願いし、寄贈してくださった企業の担当者と私が教育委員会のYouTubeチャンネルで対談するなど、企業がPRとCSRをしやすい仕組みを作りました。ボイスでプログラミングに使っているゲーミングパソコンとチェアも、地域団体から寄贈されたものなんですよ」

寄贈されたボイスのゲーミングパソコンとチェア(左)、寄付を行った企業と対談して動画を公開(右)

今年度も不登校支援員を市内の全公立小・中学校に配置するなど支援を強化しているが、今後は市内の全公立小・中学校にボイスと同じコンセプトの居場所を、人員配置とともに設置したいという。

「そうすれば、『今日は午前中にメタバースのボイスに接続し、午後は卒業した小学校のボイスに行こう。明日はセンターのボイスに行ってから、中学校のボイスにも行ってみようかな』と、子どもが選べるようになります。学びへのアクセスを得られることで成長し、将来の進路を獲得してもらえたらうれしいです。私は、不登校支援の充実はすべての子どもの支援の充実につながると考えています。不登校支援が充実すれば自ずと魅力ある授業になり、障害のある子なども学びにアクセスしやすくなるはずです。就任時から『大東市から日本の教育を変える』と申し上げていますが、ほかの自治体でも本市のような不登校支援が当たり前にできるような潮流をつくっていきたいと考えています」

全国的に子どもの不登校が増加する中、独自に多層的な支援を行う同市の動向には今後も注目が集まりそうだ。

(文:吉田渓、写真:大東市教育委員会提供)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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