千葉県知事・熊谷俊人、独自の「子育て・教育支援」推進に込める国への熱い期待 男性育休、自然環境保育、給食費無償へ思い語る

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

学校の負担軽減や教員不足にも、千葉県独自の施策で取り組む

──いま全国的に教員不足が叫ばれていますが、熊谷知事はどこに問題があると感じていますか。

教員志願者自体が年々減っていますし、現在は退職人員をカバーするため採用数を増やしていることもあり、公立学校教員採用試験における小学校教員の採用倍率は3倍を切っています。子育ても同様ですが、SNS全盛の今の世の中では、教員のポジティブな情報よりネガティブな情報が増幅されて前面に出てしまっていますよね。教員という仕事の、本来のやりがいや魅力が十分に伝わっていない点に大きな問題があるのではと思います。

教員の働き方改革を進めて負担を軽減することは大前提として、ほかにも注力していることが大きく2つあります。ひとつは、外部のプロによる教員の仕事の棚卸し。第三者の目で仕事内容を精査してもらい、例えば作業をデジタル化できないか、外部に委託できないかなどを見極めてもらっています。もうひとつは、県独自の専科教員を雇用し、小学校に配置することです。経験値の高い専門スタッフを充実させることで教員の負担を軽くし、「チーム学校」として力を発揮できるようサポートしています。

また、教員の魅力を伝えるという点では、千葉大学の教育学部と協力しながら進めています。最近では、教育学部に進んでも教員を志望しない学生が増えています。私は千葉市長の頃から毎年、市や県の職員採用試験の合格者全員に直接電話で挨拶をするのですが、その中に教育学部出身の学生が非常に多いのです。どんな仕事に就くかは個々の自由ですが、教育学部の学生が教員を目指したいと思えるようなアプローチが、特に大学1、2年生の段階で必要だと感じています。

──最後に、千葉県が今後、教育関連で取り組むべき課題を教えてください。

私は、千葉県で生まれ育った若者一人ひとりに充実した人生を送って欲しいと思っています。いつも「雇用は最大の福祉」と言うのですが、やりがいのある仕事と安定した経済基盤を持っていれば、人生が豊かになるでしょう。

子どもたちには教育現場を通して、将来社会で求められる人材になるために、どんなスキルを持つべきか伝えていきたい。そのためには社会と教育がしっかり連携しなければなりません。また、子どもたちが未来を生き抜くためには、目まぐるしく変化する社会を捉え、しなやかに対応できる力を備えることも必須でしょう。そこに向けて「自然環境保育」をはじめ、幼少期から“根っこの強い子”を育てていく重要性を感じています。

これからも多方面から教育を支え、子どもたちが充実した人生を送れることを心から願っています。

(文:せきねみき、写真:尾形文繁 撮影)

東洋経済education × ICT編集部

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事