筆者が米国駐在中に利用していたニューヨーク郊外の公立図書館からは、今でも同館が開催するイベントの予定がメールで送られてくる。そこで紹介されていた10月第1週のイベントが、「禁書週間」だ。米図書館協会(ALA)が「検閲の歴史に思いをはせ、自由に読書ができるすばらしさを祝う」ために1980年代から展開してきたイベントで、同館では女性作家を取り上げた講演会などが行われたようだ。
コロナ禍がきっかけ
禁書週間の歴史は古いが、今の米国で改めて「禁書」が争点になっていることは見逃せない。全米の学校や公立の図書館から、非白人やLGBTQ(性的少数者)に関する本を排除しようとする動きが急速に広がっているからだ。その背景には、多様性を認める価値観への反発が透けて見える。
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