女子学生が「悔いのない選択」を取るための、3つの「やってはいけないこと」 禁止事項と「リスト」で自分の気持ちを可視化

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学生さんにお勧めしたいのは、「今、自分がいちばんのめり込めるもの、夢中になれるものは何だろう?」と考えてみることです。答えが出たら、次の日もまた考えてみる。考えても考えても楽しくてたまらないこと、理由もなく夢中になれることを、まずは何とか見つけます。抽象的なことでも構いません。次に、それがどんな職業と結び付くのか考えるとよいと思います。

――親としては、わが子がのめり込んでいることが仕事になるのか、食べていけるのかと不安です。

人は何かにのめり込むと、その分野のスキルや知識、経験を得ることができます。それらは自分の「基盤」となり、別のフィールドでも大いに役立ってくれるはずです。私はスキルや知識を「道具」、基盤を「道具箱」と呼んでいます。

さらに言えば、就職先を真剣に選択し、全力で打ち込んでいたとしても、しばらくして「あっ、これじゃない。違っていた」と気づいたり、「ほかのことがやりたい」と変わったりするのも、とても自然なことです。

違うと思ったら、また選べばいいのです。そして新たな職場でまた別の道具を獲得する。道具箱の中身が増えるたびに、よりよい選択ができるようになると思います。

自分自身の指針「ミッション」を持っていつでも正しい選択を

――松岡さん自身も最初はプロテニス選手を目指していたんですよね。

はい。世界のトップ選手になりたくて16歳で単身渡米しましたが、数度にわたるケガで断念せざるをえませんでした。そこで、もともと数学と物理が好きだったこともあり、自分と互角に打ち合いができるパートナーのようなロボット「テニス・バディ」を作れないかと、ロボット工学の研究の道に進みました。ロボットアームを作るうちに「この技術で人を助けたい」と考えるようになり、自然な人間の手を再現しようとアカデミックの世界で研究に没頭していたところ、マッカーサー・フェロー賞というものを受賞したのです。これを機に、グーグルの共同創設者であるセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジの2人に呼ばれてグーグルXの共同創業メンバーの一人になりました。その後は当時まだ10人ほどのベンチャー企業だった Nest Labs社に入社。アップルのヘルスケア部門やグーグル副社長を経て、2019年からパナソニックグループに移籍し、新会社Yohanaも設立しました。

いろいろなところで学び、働いてきましたが、周到に計画してキャリアチェンジをしてきたわけではありません。いつも、その場その場に全力でのめり込んでいました。のめり込めるものが見つかれば、おのずと情熱を抱けるものが見つかり、のちにミッションを発見することになるはずです。

――ミッションとはどのようなものですか。

不確実性の増す今の時代、何かを選択することが難しくなってきたと感じる人は多いのではないでしょうか。この世界に「正解」はありません。何を大切に、何を誇りに、何をアイデンティティーにしているかは人それぞれ異なり、誰かにとっての正解が自分にとっての正解とは限りません。それはキャリアも同じです。十数年前とは事情が異なり、「これさえやっておけば大丈夫」というような、保証されたルートは存在しない。これは、若い人たちほど敏感に感じていることでしょう。

人は迷うし、間違えるし、混乱します。予想外のアクシデントに見舞われることもあります。将来、家族が増え、責任が増え、大切なことが増えたがために選択に迷うこともあるでしょう。そんなときでも正しい選択をするために持つ自分自身の指針。それがミッションです。

完璧主義の裏返しで「馬鹿なふり」をし続けた過去

――学生が「よい決断」をするために、やってはいけないことはありますか?

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