「カルト宗教」の巧みな勧誘術、大学生の心の隙に入り込む手口と学校対策の今 高校教員が信者の例も、時期学年問わず要注意

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(写真:takeuchi masato / PIXTA)

「わかりやすいもの」に飛びつかず、答えがない状態に耐えて

それでは、もし勧誘を断り切れず、活動に参加してしまった場合はどうすればいいのか。

「勇気を振り絞って断るか、あるいは、しかるべき窓口に相談してください。ただ、当人よりも周囲がなるべく早く気づいてあげて、カルト宗教が隠している情報や嘘を教え、当人に離れる意思決定ができた段階でしっかり支援することも必要です。居場所となる新たな受け皿がないとどうしても離れられないものです。大学側は、カルト宗教で休学・退学した学生の再受講を認めたり、専門カウンセラーを配置するなどの対策をしてほしいです」(西田氏)

太刀掛氏は周囲が気づくポイントとして、「高揚感に満ちていたり、急に行儀がよくなったりする」と指摘する。家族は日頃からコミュニケーションを密にすることを前提に、帰省時には普段の生活について気にかけて知ろうとすることが大切だそうだ。

幅広い手口で迫ってくるカルト宗教。最後に改めて、学生たちが日頃から注意すべきことを太刀掛氏に聞いた。

「『情報』『相談』『わかりやすいものに飛びつかない』の3つです。まず、サークルやイベントに誘われたら、誰が主催しているのか情報をしっかりと確認してください。ほとんどは主催団体が伏せられているため、ちょっとでも違和感があれば周囲に相談します。その違和感は大体正しいです。相手は、周囲に相談されたり調べたりされることを嫌いますが、彼らが使った言葉をネットで検索し、特定のカルト団体と類似していないかもチェックしてみてください。その際、上のほうに出てくるサイトはカルト宗教が先回りして用意したコンテンツであることが多いので、検索結果の後ろのほうまで見るようにしましょう。

最後に、わかりやすいものにすぐに飛びつかないこと。善か悪か、敵か味方かなど、二元論はカルト宗教の考え方と親和性が高い。社会的不安を抱えていると、簡単な考え方やスッキリした解答に魅力を感じてしまいます。しかし、世の中には正解がないものがたくさんあります。「ネガティブ・ケイパビリティ(Negative Capability)」といって、答えが出ないものに耐える力が必要です。人生の中で、答えのない問いにどれだけ向き合うことができるかも大切にしてほしいのです。いずれにせよ、勧誘の手口を知り、ちょっとでも変だと感じたらすぐ周囲に相談する。そうした基本をしっかり守ることが大事だといえるでしょう」

(注記のない写真:keyphoto / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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