働き方改革で「残業を減らしている学校」が取り組んでいる4つのステップ リスクを取る役割を校長、教育委員会は盾に

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「忙しい朝からこの作業をすること自体が残業につながる、と言ってこられる先生がいるのですが、そういう方に限って授業の空き時間を何となく過ごしていたりするのです。やらなければいけない業務にどのぐらいの時間がかかるかを把握し、共有する。予定どおりにいかなかった業務について原因を振り返るだけでも在校時間が減る効果があります」

心理的安全性を高めるのが管理職や教育委員会の仕事

働き方改革をうまく進めるには、現場だけでなく管理職や教育委員会の役割も大きい。田川氏は次のようなアドバイスを送る。

「まずはリーダーシップと、リスクを取る役割を校長先生に担っていただきたいです。例えば100人中、1人でもガラケーの保護者がいたらチャットではなく全員紙のプリントで連絡をする。これはリスクにフォーカスしすぎて非効率になる典型例です。ここは校長先生が、1人には紙で対応し、あとはチャットで送るという決断をしてほしいです。

さらに、教育委員会が盾になってくれる地域は働き方改革が進みます。働き方改革の取り組みを保護者に説明するのは現場にとって非常に気を使う仕事です。そのときに最後のカードで校長先生が “教育委員会がこの方針なのでご理解を”、もっと言えば “何かあれば教育委員会にお問い合わせください”くらいまで言えるようになると気持ちが楽になります」

また、こうした業務改革が短期的な取り組みで終わってしまっては意味がない。継続して取り組み、効果を得るには、業務改革のあり方を学校に合わせて見直し、文化として定着させるのがポイントだという。また定期的に振り返りを行って取り組みによる変化、効果を実感することでモチベーションも維持できる。

教員不足が深刻さを増す中、「欠員が出て働き方改革どころではない」という現場も少なくないはずだ。だが、埼玉県伊奈町立小室小学校では働き方改革の効果についてアンケートを取ったところ、時間外在校時間が減るとともに「子どもと向き合う時間の確保が十分されている」が37.5%から70.8%に、「教材研究や授業準備に必要な時間が取れている」が12.5%から44.0%に、「業務を見直し、改善が図られている」が37.5%から91.7%に改善したという。

「カエル会議などは数人からできます。それ以外にも新しいノウハウや小さな工夫をご自分なりに実行されている先生もいます。諦めずに自分のできる範囲のことを続けて、周りを巻き込んでいってほしいです」

(文:長尾康子、注記のない写真: KazuA / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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