東大など難関大現役合格者多数、効率主義の真逆貫く「小石川教養主義」とは? SSH指定校・小石川中等教育学校の学びの神髄

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理科の授業
(画像:小石川中等教育学校提供)

国際理解教育も充実している。2年生で国内語学研修、3年生でオーストラリアでの語学研修、5年生でシンガポールでの修学旅行を行っており、希望制ではなくすべて全員参加だ。

オーストラリアでの語学研修(3年生)
(画像:小石川中等教育学校提供)

「本校の生徒は、現代短歌を探究して運動部で活躍した子が理系学部に進学したり、湧き水を研究した子が法学部に入ったりと、進路選択が多様です。さまざまな選択が可能なのも、こうした教育の3本柱が大きいのではないかと思います」と鳥屋尾氏は語り、こう続ける。

「本校の生徒に共通するのが、社会全体をよく見て『自分に何ができるのか』という問題意識を持っていること。英語でも日本語でも、ディスカッションでは非常にまじめに話し合いをします。そういった風土が生徒をさらに伸ばしていく面もあると感じます。入学当初は幼さが残っている子も、3年生あたりで教員が驚くような考えを述べることが増え、4~5年生になると上手に周囲と協力して何かを成し遂げるようになるなど、大きな成長を見せます」

同校の教育成果を、今後は地域にも還元していきたいと鳥屋尾氏は考えている。

「とくにSSHとして、理数教育の成果をこの学校だけのものにしてはいけないと思っています。『優秀な生徒が優秀な大学に入って優秀な研究者になった』で終わらせるのではなく、地域や東京都全体の財産にしていきたい。小学生を対象にしている理科教室の回数を増やしたり、中高生まで広げたりといったことも考えています」

大学受験をするなら、その対策に特化したほうが効率的だという捉え方もある。しかし、社会の変化が加速し、正解がないといわれる時代において、同校のように自分なりの答えや軸を探すさまざまな経験ができる環境は、将来の伸びしろと可能性を広げてくれることだろう。

(文:吉田渓、注記のない写真:今井康一撮影)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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