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日銀の政策修正を揺さぶる「物価上振れ」のリスク 7月決定会合で見逃せない「重大ポイント」とは

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7月の日銀展望レポートは、その修正内容に注目が集まる。2024年度以降の見通しが政策修正を占うカギとなる。

日銀が重視する基調的なインフレ率は、再び2%を下回るという見方が優勢だ(写真:ブルームバーグ)

2023年7月27~28日に行われる日本銀行の金融政策決定会合と合わせ、市場関係者が注目しているのが、年に4回公表される経済・物価情勢の展望(展望レポート)だ。企業による価格転嫁の動きが続いており、前回4月に公表した2023年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は、上振れ必至とみられている。どのような内容が予想されるのか。

8月以降、食品メーカーはまた値上げへ

総務省が7月21日に発表した2023年6月の全国コアCPIは、前年比プラス3.3%だった。6月1日から電力大手7社が家庭向け電気料金のうち、規制料金を値上げしたことなどが押し上げ要因となった。標準的な家庭における電気代の値上げ幅は、当初の申請より圧縮されたものの、最大4割程度となっている。

生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は同プラス4.2%と、前月から0.1%ポイント低下したが、日本銀行の物価安定の目標である2%を上回る上昇ペースが続いている。

リアルタイムの物価指標データ「日経CPINow」を提供するナウキャストの中山公汰アナリストは、「2023年1月以降、卵価格の上昇が大きく牽引して指数の前年比は上昇を続けてきたが、6月以降上昇は緩やかになっている。この先は前年の水準が上がっている中で、8月以降にまた行われる主要な食品メーカーの値上げがどう影響を与えるかに注目している」と話す。

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