年間100超の学校・教員に「ばん走」する石川晋、依頼が後を絶たない納得理由 授業づくりの提案から学校課題解決の相談まで

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3時間目。6年1組で国語の授業を行う。単元は、詩『イナゴ』(まど・みちお)。導入で、スクリーンにイナゴの写真を映し出す石川氏。対話型ギャラリートークの手法を詩の読みに生かすスタイルを取っている。子ども同士の対話をベースに、

「イナゴって知ってる?」
「イナゴ、食べられるんだよ」
「漢字でどう書くと思う?」など、子どもたちの興味関心も引き出し、「イナゴ」と「ぼく」の関係を考えていく。

6年生の国語の飛び込み授業。単元は、詩『イナゴ』(まど・みちお)

追い読みによる音読では、速さや順番を変えながら音読する石川氏に元気に呼応しながら、詩の世界に浸る子どもたちの姿が見られた。4時間目は隣の6年2組で、同様の授業を行う。

石川氏の授業を食い入るように見つめる6年生の担任の先生たち。中田校長も、石川氏の授業やクラスの様子、担任の様子を見守る。

担任の先生には、同じ授業なのにクラスによって展開や子どもたちの反応が違うことなどを見てもらう

「先生方が教室で大変な努力や苦労をされていますから、ほんのわずかな時間をお借りして授業をさせてもらうことで、僕自身もその努力や苦労の一端を体験させていただこうと思っています。また、僕のような外から来た人間が授業を行うことで、担任の先生は、授業そのものはもちろん、同じ授業なのにクラスによって展開や子どもたちの反応が違うことなどを肌で感じることができます。自身のクラスのカラーを再確認したり、授業づくりや学級経営について新たに発見したりしてもらいながら、成長してほしいと思います」(石川氏)

中田氏も、こう続ける。

「石川先生が、担任のクラスで授業を見せてくださることで、担任は『ああ、あの場面はこうすればよかったのか』など客観的に気づくことができます。人に言われるよりも、自分の目で見て、自分で気がついたほうが、教員自身の学びにつながると感じています」

「明日にでもまた、研究授業をやりたいです」

5時間目は、6年2組の担任・磯望氏による国語の研究授業だ。磯氏は教員4年目だが、毎年自ら手を挙げて石川氏に授業を見てもらっており、今年で3回目になるという。

研究主題は「主体的に学び、考え、表現できる児童の育成」で、単元名は「パネルディスカッションをしよう〜鹿骨東小学校のよさについて語り合う」。司会の児童、パネリストの児童3〜4名、パネリストの発表を聞いたり質問したりするフロアの児童に分かれ、授業では、司会による進行の下、パネリストが資料を提示しながら鹿骨東小学校のよさについて発表し、フロアからの質問に答える形式で、計2回のディスカッションを行った。

6年2組の担任・磯望氏による国語の研究授業
(写真:東洋経済撮影)

このパネルディスカッションで深まった考えを基にして、次の単元「パンフレットで知らせよう」では、下級生、保護者や地域の人、他校の人に向けた学校紹介パンフレットを作ることをあらかじめ子どもたちに知らせておき、ゴールイメージを持たせているという。石川氏は、同校の教員に交じり、教室の前のドアが開いた向こうから、メモを取りながら授業を見ている。

そして6時間目。研究授業を見た教員が体育館に移動し、低学年担任、中学年担任、高学年担任のグループに分かれ、よかった点や新たな気づき、課題に感じた点などを付箋に書き出してホワイトボードに貼り、磯氏の研究授業の振り返りを始めた。

研究協議会で磯氏の研究授業の振り返りを行う
(写真:東洋経済撮影)

石川氏は前の席で磯氏の横に座り、研究協議会のファシリテーターとして、教員たちの発表を聞きながら、磯氏も交えて対話を進めていく。

何人かの教員から「子どもたちの質問内容が、『学校のよさを伝えたい』というテーマからそれていたことがあった。1回目と2回目のディスカッションの間に軌道修正の声かけが必要だったのでは」「他者と自分の意見を比較し、自分の考えを深められるような“質問力”を上げるには、教員はどのように関わればよいのか」という問いが出た。

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